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タヌキが死んでる!2009/07/01

タヌキの屍骸
「イタチが死んでたわよ!」女房殿からの電話です。午後の散歩に出た直後、天王坂で見つけたと言うのです。
「リスじゃないのかあ?」と私。
「そんなんじゃなくて、もっと大きいの。イタチじゃないかと思う」

私はこの辺りでイタチの話は聞いたことがないので、多分、タヌキだろうと思いました。この後、私もランニングスタイルになって、坂を駆け下りてゆくと、いました、いました。電車のガード下の手前で横倒しになっています。予想通り、タヌキでした。

額の真ん中から鼻にかけて白い筋があり、両目は落ち込んで黒っぽい隈があります。漫画に描かれるタヌキそのものです。尾が長く細いのはちょっと違ったかな?

屍骸は損傷してはおらず、出血も認められません。どうしたのでしょう?線路に下りて電車にはねられ、ガード下へ落ちたのでしょうか?それとも、その場所がガケ下なのでガケから何らかの理由で落ちたか…。

この天王坂にはリスもいればサルも出没します。タヌキがいてもおかしくはありません。国道135号線の向こう側の山にはシカがいます。私も確認しています。あとは可能性があるのはイノシシですかね。

「カナヘビもいたわよ」とは帰ってきてからの女房殿の話。ケイタイでタヌキを撮ってきたのはお手柄でした。顔の部分がはっきりしませんが、まあ上出来。

ムカデ2009/07/03

竹ケ沢公園
伊豆大川駅から山奥へおよそ2キロ入ったところに竹ケ沢公園があります。ホタルの観賞地として知られています。きょうは温泉ではなく、この公園を訪ねてみました。

自主運行の低運賃のバスで終点の大川公民館前まで運んでもらい、ゆるやかな坂道を上がってゆきます。この道に平行して向井川が音をたてて流れ落ちてきています。集落を過ぎて、会社の保養所のような立派な屋敷の前を過ぎると、民家がまったくなくなりました。

上へゆくにつれ、ガスがいくぶん垂れ込めてねっとりと肌に触れます。沢縁に3月31日から10月まで解禁の立て札がありました。アマゴが釣れるようです。こんなに早い流れでも釣りが出来るのですね。

道中いろいろな草花が目に留まり、ひとつひとつ撮影してゆくのも楽しいものです。たいていの花はその名前がわかりません。帰宅して調べてみましょう。

「これはキウイだわ!」と、女房殿が歓声をあげました。なるほど小さな実を一枝に3ッツ4ッツ垂らしています。ミカンの栽培地だったような整地された場所の沢よりにこんもりと茂っています。もう殆ど手が入らず、まわりは草茫々で放置された状態になっています。

普段よく買い求めているものと比べると小さく、かといって、実の先の部分が虫につつかれたのか、黒くなり始めているので、収穫するとしたら今頃だと思われます。ただし、おなかをこわすといけないので、止めておきました。

30分弱で竹ケ沢公園に着きました。車が一台上がって行っただけの静かな道でした。中へ入ると、小さな池があり東屋が建っていました。池は流れ込む水を満々と湛えて、しかも、表面はさざ波ひとつありません。わずかにアメンボーが表面を滑ったあとだけが目に残ります。

対岸の草花が水面に垂れて、どこが水面との境界かわかりません。明鏡止水とはかくの如し。水底に小さな魚影が見てとれました。池を囲う大樹のどこからか、ウグイスの鳴き声。

東屋のベンチに腰をかけて簡単な食事。こういうとき、こういう場所ではご馳走はいらないのです。飲み水とわずかなパンがあればいい。

ただ、大きなムカデが水際から私たちのほうへ百足をそろえてやってきたのにはビックリしました。長さ10センチは越えています。どす黒くどこまでも赤いその姿は悪役の資格充分です。ただちにベンチから立ち上がり、道をあけてお通りいただいたのであります。

この公園のまわりは綺麗な小沢が流れこんでいるため、ホタルが飛び交うそうです。ですから、夜には訪れる人もあるでしょうが、昼間でも寂しいところなので、覚悟して出かけたほうがよいでしょう。

ひっこくり2009/07/04

ひっこくり
ベランダで洗濯物を干していた女房殿が何やら叫んでいるので飛んでゆくと、海上保安庁の船が入ってきたというのです。なるほど大きな船です。早速、着替えて部屋を飛び出しました。

下の道まで降りると、船上からアナウンスがありました。
「津波訓練が終わりました。ご協力有難うございました」

アナウンスが終わると、船は出港してゆきました。最初、外側の大桟橋に横付けしたので、そこまで行くつもりだったのに残念でした。

稲取漁協の前では子どもたち大勢が、長い竿を持って磯をうろついています。大人も何人かいますので、近寄ってみました。

ここにカニがいるよ、と女の子が言うので岩のなかを覗いてみると、死んだカニでした。この子たちは長い竿でカニを捕まえているのだそうです。

波止場の下で長老二人が子どもたちの様子を看ていたので、そこへ行って話しを聞いてみました。長い竿の先端に釣り糸で手の大きさぐらいの輪が二つ付いており、そのリード線が手元に伸びています。

それと、先端に魚の肉がくくり付けられています。このエサでカニを引きつけ、輪の中に入ったところで、そのリード線を引っ張るのです。細い釣り糸ですから、しっかりとカニを掴まえることができます。

「これは“ひっこくり”と言うんだ。カニは精進ガニだよ」
このカニを味噌汁に入れると、最高だと言います。ただし、味噌は少なめに入れることと教えてくれました。

子どもたちを集めてのこの催しは「ふるさと学級」の集まりだそうです。皆さんボランティアで子どもたちの指導をしているのでしょう。子どもたちがひとりふたり、魚肉の補充や竿の不具合を直してもらいに長老のもとへやってきます。

掴まえたカニを見せにくる子もいます。いずれも精進ガニでした。道路端の広場に大ナベがありましたので、みんなそろってカニの味噌汁が味わえるのでしょう。みんな目が生き生きと輝いていました。

投票所と港の朝市2009/07/05

キンメの水揚げ
7月5日は静岡県知事の選挙です。
伊豆に居住して初めての選挙です。二人揃って出かけました。場所は役場1F、あのコンサートがあった大広間です。

朝9時半にしては訪れる人はちらほら程度。この時刻ではもう遅いのか、あるいは、期日前投票で済ませているのか、とにかく閑散としています。

投票を済ませてから、隣の朝市に入りました。こちらは人の姿は多いにしても、いつものような賑わいはありません。観光客に忘れられてしまっているのでしょうか?

野菜が安かったようで、女房殿はいろいろ買っています。ついでに昼の弁当を仕入れて、港で食事することにしました。稲取名物げんなり寿司と、赤飯、そしてお饅頭。

市場前には次々と船が入ってきています。水揚げを訊くと、きょうは低調のようです。市場前を離れようとしたら、人の良さそうな年配のオジサンが、やってきたので声をかけました。

「船が入ってくるんですか?」
「そうだよ、連絡があったから」
「息子さんがやってるんですね?」
「いや、知人の船さ。キンメをわけてやるというもんだからね」

息子さんは役場勤めで、ご本人も太陽漁業のサラリーマンとして36年間勤めあげ、今は年金暮らしだということです。愉しそうに話してくれるのを聞いていると、こちらも嬉しくなります。

このオジサンから、ここの漁師は土曜日が休業日だと初めて聞かされました。それから、役場前に頭から突っ込んだ形で留まっている船が、この稲取で一番の水揚げを誇る船だと言うことでした。

港を見下ろすと、いつもこの船が繋留されてiいて出航した形跡がないので、仕事が嫌いな人が持ち主なのか、それとも、資産家なのであくせく仕事する必要が無い人なのかと思っていました。

そうこうしているうちに船が入ってきました。オジサンも立ち上がりました。私たちは一番大きな波止場へ移動し、出入りする船を眺めながらげんなり寿司を頬張ります。

町民証2009/07/07

海霧
きょうは梅雨の晴れ間、ヤオハンの買出しのあと海岸のベンチで食事です。文化公園から降りてきたときは海霧が陸まで押し寄せて、目に薄く白い膜がかかったような錯覚を覚えました。白内障が進むと、こんな風に見えるのでは…。

さすがに、磯でいつも釣りをしているオジイサンの姿が見えません。テングサを採るオバアサンの姿もありません。多分、朝方の霧はもっと濃かったのでしょう。

食事が終わる頃には強い風に押されて、上陸したガスが徐々に晴れてゆきます。河津の天嶺山にかかったガスも何時の間にか雲散霧消しました。しかし、大島や利島、新島、式根島、神津島あたりの霧のベールはいっこうに取れる気配がありません。

車から降りた一人旅の若者が、隣のベンチに座って熱心にこの光景を眺めていました。

彼方の空に幾分かの青空が覗いて見えても、上空に薄くかかる雲は切れそうでいて切れません。お陰で強い日差しが遮られ、海上から涼風を受けて気持ちよい昼時を過ごしました。


帰りに役場に寄って町民証を作ってもらいました。この証明書については、当地に越してきた当初からいろいろと聞き及んでおりました。皆さんから薦められていたのです。

日帰り温泉などでは免許証か保険証を提示すればよいので、私たちは特に不便を感じたことはありません。けれども、何か他に便利なこともあるかも知れないというわけで、作ってもらうことにしました。役場の前はいつも通り過ぎているのですから。

ついでに夏祭りの日程表を手に入れてきました。いよいよ稲取で一番賑やかなお祭が来週から始まります。13日から一週間、港の人たちは仕事を休み、町はお祭一色となるのです。