<><><><><><><><><><><><><><><><><><>

寝姿山のお顔へ(つづき)2011/01/08

さあ、これで今回の目的は達成できました。あとは“首”の部分まで下らねばなりません。ここまで来れば先ず大丈夫だとは思いながらも、この先の道に一抹の不安があります。

尾根をたどると、この山の山頂と思われる大岩の周辺にコンクリートの礎石が3個(多分4個)残っていて、矢倉がかかっていたことを思わせます。付近に電柱が横たわっていました。この山の一番の高まりのようなので、一応、よじ登ってこの岩の天辺に立ちました。

寝姿山のあご?


さて、前方に急な下り坂が見えてきて身構えたところ、トラロープが下る位置を教えてくれているその先がシダ類のブッシュの中に消えているではありませんか!やはり簡単には下らせてもらえません。


それでも深いシダの中を泳ぐように、おそるおそる一歩ずつ手さぐりならぬ“足さぐり”で下りてゆきました。かなり急なしゃめんです。ロープウェイ山頂駅と武山?との鞍部手前に展望台のような丸い堂がありましたが、これは今は使われていないようです。

鞍部は峠でもあり、下りてきた道の向かい側は石段がロープウェイ山頂駅までつづいており、海側に幅広い道が白浜方面に向かっています。そして、山側には山道が下っていて、藪の中に消えていました。恐らくこれが旧下田街道をもう少し上ったところに取り付き点のある道なのでしょう。

ロープウェイ山頂駅で熱いコーヒーを楽しみに石段を上がってゆくと、そのわずか手前の看板に、“これより先は600円の入園料が必要です”とありました。下からよじ登ってきた心意気と、600円の料金との違和感で、300円ならまだしも、という思いから敢然と元の鞍部に戻ることにしました。熱いお茶なら、テルモスにまだ残っている!

下山は寝姿山を南から東に巻く道を選びました。しばらく行くと、山の神の新しい標柱が立っていたので少し山の中に入り、小さな祠の前で手を併せてきました。祠は最近新しく置き換えられたようで、古い祠の屋根の部分が傍に残っていました。寝釈迦の裏で古来の神様が守っている神仏習合の図です。

山の神


下田港からあまり離れていないところに出たらいいな、と思いながら下った先は下田ビューホテルの近くの国道135号でした。整った歩道を気分よく下田駅へと向かい、途中、外浦海岸の浜辺で遅い昼食を摂りました。風は穏やかで、垂れ込めていた雲もだんだんととれ始め、幾つかの珍しい岩礁を眺めながらの至福のひとときです。

外浦海岸


浜辺を散歩する二組のペアの姿が消えたあと、私もその後を追ってみることにました。磯浜を北へ半周する道は素晴らしい遊歩道です。この道は大勢いの人が年数をかけて通って出来た道のようでした。

磯で巻貝のようなものを集めているオバサンがいました。結婚して50年が経つと言っている割には若々しく元気な方です。黒のりがもうそろそろ解禁されるということでしたが、フノリと比べて岩への付き方が少なく、採取は大変なように思われます。

白浜が白くてきれいなのに、昔はもっと白かったと言います。事実だとしたら、環境の変化を疑わなければならない由々しき問題です。それにしても、この砂浜は肌理の細かい砂がびっしりとしたもち肌のようで、波打ち際でなくとも、歩いても全く沈み込まないのには驚きました。天然の素晴らしい恵みは大事にしたいものです。

磯を回ってゆくと、よく鬼の洗濯場と言われるような平らな岩礁に出ました。これは千畳敷と言うのだと、今日志津摩の徳さんに教わりました。見事な千畳敷でした。

千畳敷



国道135号にのぼりかえして、あとはひたすら下田駅へ。(完)