赤紙をもらった犬 ― 2011/01/13
今、私たちの周りには何匹かの”近しい犬”がいます。ホクトは膝の悪いおじいちゃんと昼間留守番をし、息子の嫁さんが仕事先から帰宅して、散歩に連れて行ってもらえるまで大人しくしています。近くに猿がよく出没するので、ワンワン吼えて知らせてもくれます。
天王さんのシロはおとうさんと一緒に軽トラの助手席に乗って、野良仕事に出るのを最上の楽しみにしています。普段は部屋の中にいて、私たちが手を振ると、尾を振って答えてくれます。
散歩でよく行きあうリキというマスクの良い柴犬もいます。おとなしい犬でめったに人に吠えません。ジョンくんは一度病気になったが、文化公園の足湯のこぼれ湯に毎日浸かりに来て元気になりました。歳は16歳。もう、後期高齢者だそうです。
後期高齢者と云えば、いきいきセンターの裏通りにある”シューズショップみはる”のマックは高齢でしかも病気もち。可哀そうにお尻の大きな腫瘍のせいで、お座りが出気ません。両足を投げ出して、俯けの格好で顔を上げている姿は痛々しい限りです。
先日は品川ナンバーの車でやってきた獣医に診てもらったらしい。飼い主の若い夫婦は、長い間、連れ添ってくれたから、余生をなるべく幸せにしてあげたいと言います。今は部屋に入れて面倒をみているそうです。白熊のような大きな犬で、ついこの間まで立派な小屋の中で横になって道行く私たちを眺めていました。
さて、アルマ。こちらは”赤紙をもらった” シェパード犬。暮れに録画しておいたテレビ映画の主人公です。アルマは軍犬として戦地に赴きました。そして兵士たちの心強い味方となって活躍し、荒くれの兵士たちに人間らしい感情を甦らせます。最後に語り手が、犬は人に尽くすことしか知らない。ならば人は・・・、と言っていたのが強く印象に残りました。
昭和を通して10万頭もの軍犬が大陸に渡り、帰ってきたのは一頭もいない、というセリフが物悲しく響いたのは、人間世界の事情に翻弄されながらも、最後まで人に尽くすけなげな犬のドラマだったからです。
最近のコメント