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ふれあいの森のHL 32019/07/13

(三) 超能力?を持った怪人物

稲取駅前からバスに乗って「小学校前」で降りると、海側の盆地が公園になっていて、町民のみならず観光客にも親しまれています。昔はその西側の台地に稲取実業学校が存在し、その下の盆地は学校の農業の実習地でした。戦後、学校は字長野の地に移されて現在の県立稲取高校に変わりました。その後、実業高校の敷地にはスーパーのマックスバリュウ(イオン)が建ち、実習地は「文化公園」に変わり、足湯や雛の館、ジオパーク、真ん中に芝生広場などが開設されました。雛の館には雛の吊るし飾りが展示されて、春の雛祭りを中心に足湯とともに大勢の観光客を迎えています。

         文化公園 雛の館は画面左の片隅

或る時この公園の中を、足元に続く花の植え込みを眺めながら、ゆっくり歩いている風変わりな人を見かけました。背中の頭陀袋に傘を入れ、キモノの“襟合わせ”のような格好の上衣を身に着けた、あの長い髪を後ろで無造作に束ねたお婆さん、そうです、権現さんの坂のイノシシ小屋近くで出会った不思議な人、その人でした。あれから少なくとも二年は経っているように思えます。今回は、私が上の道路から見届けただけで、直接会うことはありませんでしたが。

 

しかし、その後はたびたび町なかで見かけたり会ったりするようになりました。これから河津の図書館に行く、と本人から聞いたこともあります。またある時など、女房殿が見かけたと言って報告してくれました。役場前に駐車場がありますが、その大川端の円形ベンチに座って、西に向かって手を合わせ遥拝していたというのです。つまり、直前に神社があるわけではないので、下田の白浜神社とか、河津なら来宮神社でしょうか、あるいは稲取なら役場前から西に向かってと言えば西町の三島神社かも知れません。その神社に向かって手を併せ、激しく体を震わせながら何かぶつぶつ言っていたらしい。あたかも、祈祷師が幣束を両手におまじないをしている姿に似ていたそうです。

また彼女は整体術を心得ているらしく、町のどなたかのしつこい肩こりを治してあげたこともあったという。この時は相応の謝礼金をもらったらしい。それから、河津の磯浜に温泉の引き湯があって、そこへよく通っていると聞いたこともありました。国道135号線が峰温泉への道を分ける丁字型交差点の、少し下田寄りの磯の中にあるそうです。彼女が度々河津の図書館へ行くと言っていたのも、実は磯で湯あみするのが目的の一つだったのかも知れません。

 

                 三筋山頂上

それから、三筋山の頂上で休んでいたときに、後から上がってきた彼女にびっくりしたことがありました。三筋山は低山でも、821メートルあります。ある程度の山歩きの装備は必要です。でも、彼女はいつもの小さな頭陀袋に傘を入れた程度の物しか準備していなかったように見えました。足元も運動靴のままでした。この日は途中で軽トラックに拾われ、長い車道歩きをしないで済んだから助かったと言いながら、ベンチに座って休むこともなくこの先の尾根を追って下ってゆきました。寒天林道を歩いて河津に出るとのこと。それを聞いて驚いた私はこの人は一枚も二枚も上手だ、到底敵わないという思いで、呆然とその後ろ姿を見送ったのでした。その時のはきはきとした物言いは一定の識見を持っている人だと感じさせるのに充分でした。歩き方もスローにしてリズミカルで休みなく、山歩きに適った足取りです。普段からよく歩いていますからね。




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