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シラヌタの池訪問記2019/12/31


スタートは白田の交差点、コンビニで昼飯を仕入れて出発。赤川橋まで白田川右岸を行き、橋を渡って白田川本流から離れます。かつては度々通った道ですが、久しぶりに歩いてみると目にするすべてが新鮮です。どこかが変っている。極めつけは巨大なソーラー発電装置。最近は浅間山から見下ろして驚いている広域な施設です。

 

やがて道路沿いに民家が途絶えると深山に入った雰囲気になり、「治山施行渓流」の標柱や看板などとともに堰堤が目についてきます。堰堤に開いた四角い穴から水が迸って落ちています。そして背の高い美しいヒノキ林に感嘆の声を上げているうちに要害橋に到着しました。白田を9時10分に出発して2時間弱もかかりました。

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この先、10分くらいで右手に万二郎が見えてまいり、この辺に「林道片瀬大付き線」が起点となっていることを知らせる角柱が立っていました。僅か1118mということですから、何か理由があってのことでしょう。更にこの先10分で行く手に再び「立ち入り禁止」の“馬”に遇います。つづいてまた10分後に倒木地点に到着しました。

 

要害橋以降は立ち入り禁止区域であることから、今回は引き返すことになるのかと思いながらも、どこかに道は隠れているかも知れず、とりあえず念のため探してみることにしました。先ずは地形の確認です。左手が浅い谷になっており、その向かい側の稜線が堰口の発電所から北西に上がっている尾根に間違いはなく、従って、その尾根の行く先に天城ハイランド別荘地があるはずだと考えられます。

 

倒木をかいくぐって谷側に一旦出てから一帯を見渡し道の可能性を探ります。しかしおびただしい倒木でやはり困難です。戻って次にここまで来た道の延長線を見上げて、崩落部分をよじ登ってみることにしました。微かな踏み跡らしきが認められます。すると何とその先に簡単に道が現れたではありませんか!欣喜雀躍してコンクリートの上に立ったのであります。

 

さあ、続行です。心なしか足が弾んでいます。10分後には早くも樹林の中に一軒の別荘を発見。ただし人の姿はありません、この頃から雨がポツリポツリと落ちてきました。そして間もなく数軒の別荘の一つにノコギリを使っている人を発見。屋根の庇の下で仕事に熱中しているようです。2階の欄干に布団が干してあります。

 

雨粒が落ちてきたと伝えると、作業を止めて空を見上げ苦笑い。玄関に入ったらすぐにまた顔を出して「傘をお持ちか?」と言う。実は今朝はレインウェアを用意しておいたのに、一日快晴の報に置いてきてしまったのです。でも、防寒用のジャンパーは防水だし、コールテンのズボンなら多少の雨でも酷くはなるまいと、丁重にお断りして先を急ぎました。それにしても、山は巷とは違い、天気の変化は人知の外。雨具の用意は必須です。携帯傘くらいはザックに入れておくべきでした。当たり前の準備をおろそかにして後になって後悔しても遅い、遅い!

 

さて、この先は間もなく、道は二つに別れます。本道は左に上がって続いています。直進の道脇に立つ別荘に見覚えがある気がしていました。しかし、ここは見送って本道の道なりに進んでしまいました。かなり続く坂を上がりきってモニュメントみたいな大石まで来れば数軒の別荘が立ち並んでいたというのに、まだ道を間違えたことに気が付きません。地図を開けばすぐに判ったはずなのを、私の頭の中にあるイメージはこの先に北側に通じる道があるはずだと主張していました。

 

雨は小粒ながら、少しだけ量を増していました。でも、気になるほどではありません。12時半を過ぎました。とある別荘の隣にあった道端の手ごろな石に腰かけて昼食とします。まぜご飯のオニギリ2個と、小さなソーセージ一本。それに野菜と卵とスライスハムのサンドイッチ。食欲だけは旺盛です。

 

いい加減で食事を切り上げて出発。天城ハイランド内の最北端の東西に走る広い道は、戸塚尾根を征服するのに失敗を含めて何回か横断した道です。しかも、この道を西に向かっても別荘地内を大外から左回りするだけです。帰るつもりはまだないのです。食事中に地図を広げた時、この点に気が付かなかったのは我ながら重大な問題があると言わざるを得ません。

 

ついに西端の管理事務所まで来てしまいました。少し離れた駐車場の軽トラックに近寄ってゆく人がいました。迷彩服を着ています。シラヌタの池への道を聞いてみました。すると、60年配のこの方は仕事用とみられるファイルから一枚の紙を抜き出して、説明し始めました。手書きの略図が載っています。やはり、先ほど見逃した直進の道でした。説明は流ちょうで細部にわたり、その上、落石や転落のリスクもあるので十分注意するように付け加えてくれました。当方はただただ恐縮するだけでした。

 

13時30分直進の道に戻りました。気を取り直して再出発です。「一の沢歩道」、「地蔵堂歩道」の小さな標識を過ぎて5分ちょっとで、シラヌタの池への看板に到着。14時ちょっと前でした。この時点でシラヌタの大杉の再訪は今回お預けとしました。

 

さて、この看板の他につり橋が「通行不可」の小さな看板がありました。今年の台風の被害は東伊豆町内でも少なからず各所にあったのです。とにかくそこまで行ってみようと山道を下りてゆきます。少し行くと東屋があり、更に下りて河原が見えてきて、手前にもう一つ東屋がありました。

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つり橋はやはり全体に少し斜めに傾き、向こう側の先端に被害が大きいように見えます。「通行不可」の文字が垂れ下がっていましたが、とにかく慎重に歩を進め、先端からはワイヤーを跨いで石伝いに対岸へ移りました。あとは心もとない踏み跡をたどって待望の池に到着。時間が一瞬止まったかのような静寂の中に暫く立ち尽くしたのでした。

 

最近は歩く人もあまりいないようで、帰りにところどころで道を外し、それでも東屋が遠くからでも手引きをしてくれました。林道に戻ったのが14時40分。別荘地内への分岐点に戻ったのが15時ちょっと前でした。この時点で白田16時55分発のバスに間に合うか、微妙な感じとなりました。

 

結局、当初の計画とは違って帰りも同じ片瀬の林道を戻ることにしました。別荘地内の複雑な道をたどるよりは安心の一本道の選択です。そして最後に、あのソーラーの巨大施設の辺りまで来た時に後ろから下りてきた軽トラに拾ってもらえたのはラッキーでした。その時点で20分くらいの余裕しかありませんでした。徒歩のままでは完全にバスに間に合いません。次のバスは2時間待たねばなりません。電車で帰るにしても、帰宅するまで時間はかなりかかります。白田のタクシーは数年前に廃業してますし、勿論、片瀬白田の駅前に現在は待機タクシーはありません。タクシーが常駐しているのは、東伊豆町内では現在、稲取駅と熱川駅だけなのです。

 

終わりよければ全てよし。一日を通してかなりの時間を歩き通せたこととで気分よく帰宅できたのでした。