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「平山郁夫の世界」 ― 2011/07/19
平山郁夫が逝ってから2年余り経って、ようやく彼の絵に接することができたというのは以前から偉大な日本画家、世界的な文化人という認識がありながら、随分遠巻きをしてきた感があります。
もっとも、2007年8月発刊の「平山郁夫の世界」(美術年鑑社刊)という本を読んだだけの話で、未だ絵を直接見たわけではないので、大それたことを言う資格はありませんが。
しかし、じっくりとこの印刷された絵を見ていると、不思議な感動の世界へと導かれてゆきます。著者はシルクロードを何回となく訪問し、その都度大作を描いてきました。そして、その中心をなすのは文化歴史遺産への深い理解だったと思います。
若いときに描いた「入涅槃幻想」や「出現」などからして、早くから仏に対して謙虚に向き合っていたことが分かるほど、見るものに安らぎを与えてくれます。それは広島で被爆した彼の運命的な絵の方向性だったに違いないのです。
彼はまた日本の文化遺産を対象にした作品も残しています。本書のNO11「高燿る藤原京の大殿」は大和三山の間の藤原京を勇壮・雄渾に、かつ、美しい理想郷のように描いて、見る人を魅せます。NO36「朝陽鳳凰堂(宇治平等院)」などは日本の美を高らかに誇った絵になっています。
シルクロードの絵としては、NO18「西蔵布達拉宮」が本書の説明にあるように、歴史と自然の神秘を感じさせ、NO25「絲綢之路天空」は雄大な自然に包まれて、時空を超えた穏やかな作品となっています。
最後に、NO48「平和の祈り―サラエボ戦跡」やNO53「絲綢の路 パミール高原を行く」は、今、未曽有の大震災を受けた日本人にまさに瓦礫から雄々しく立ち上がれと、黄泉の国から檄を飛ばしてくれているように思えました。

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