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心臓、脳、そして膝2014/11/08

ピラカンサ
志津摩の国道に下りて間もなく、一人の紳士が杖を使って前方をゆっくり歩いているのを認めました。この辺は歩道が完備していて歩きやすく、背の高いヤシの木の下にベンチもあります。

「転ぶと拙いのでステッキを突いているんですよ」
追いついた私に柔和な顔を向けてそう言いました。歩いている姿に別段、不自然なところがなかっただけに意外な返事です。実は2か月前に右膝を手術したばかりだと言う。今歩いているのはリハビリなので約1キロ。歩き過ぎはよくないとのこと。

彼はズボンをめくって10センチくらいの手術痕を見せてくれました。人工の膝関節が入っているそうです。そのため、膝に衝撃をあたえてはいけないし、畳の上に膝立ちもしてはならないと言われています。ただ、関節周りの筋肉を強化する運動は適宜行っているらしい。膝の屈伸運動もその一つということでした。

「私はね、手術を3度経験しているんですよ」
またまた驚きです。10年前に心臓の手術をしたのが始まりで、その後、脳の手術もしています。心臓にはカテーテルが入っており、現在は落ち着いていてトラブルは一切なし。脳の場合は、仲間との沖縄旅行を控えた前日、今までにない目眩を感じ、翌朝気分が悪くなって食べたものを嘔吐。病院では脳神経外科の医師によるMRの診断が異常なし。

耳の三半規管に関係ありかと、耳鼻科で検査を受けたが、やはり異常なかったことから、再度脳神経外科に回って今度はMRIの検査を受けたところ腫瘍が見つかり、即手術。腫瘍切除が難しい位置だったせいか、その部分をクリップしバイパス手術が施された。

そして2か月前の膝治療です。彼は笑いながら、病院生活は懲りたと何度も述懐するのでした。膝が痛くなり自由に歩けなくなってからは、これもいろいろあって今ようやくリハビリの段階に入れました。「四六時中、家の中に居たら、頭がおかしくなってしまう。こうして外を歩けるのは一番の幸せだね」

心臓手術を受けた3年後、家業をたたみました。ボイラーが故障し、その費用が500万と聞いて、当時68歳の身としてはその投資に見合った仕事は無理と判断したためです。それから8年が過ぎ、その間、脳の手術や最近の膝手術も受けました。仕事をやめて正解だったようです。

彼には中学時代から数人の仲間がいて、その仲間と旅行するのが楽しみだと言います。話を聞くと、日本全国、沖縄から北海道まで実に方々旅行しています。知らない土地を訪ねて歩くと憂さを忘れると言う。さあ、そのためにもリハビリがうまくいきますように頑張って欲しいですね。