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キンメの目2020/11/05


はまべ便り  第4回 「金目鯛の目について」 鈴木文雄 作

    ***赤い衣に身を包み金色に輝く大きな目***

 

昭和24年頃、鯖や金目で市場には毎日競り場にいっぱい水揚げがあり、稲取の港は活気で溢れていました。大衆浴場で子供の頃よく漁場の話を聞きました。「うどまわ瀬」や「矢初(やはつ)ざし」という聞きなれない言葉も耳にしました。

「きょうはうどまわ瀬に振ってみたら良かった」

と言うようにその当時の大衆浴場は漁師の情報交換の場所だったと思います。

 

魚群探知機もない時代、陸の山と山とを合わせ漁場に縄を入れ、海流を見て金目漁をする。小さな丸い石を錘につけ釣り糸を下げていました。その石のことを「あこ石」と言っていました。今は鉄筋棒を使用しています。

 

金目鯛は深海に棲み水深200M以上の所にいる魚で、先祖は1億年前から地球に生存していたとも言われる原始的な魚だそうです。僅かな太陽光を捉えるため特殊な構造になっています。金色の大きな目が特徴で、目玉を食べると外側は石灰のような味がして、内側は白い小さな透明な玉があり味はありません。つまり、二重構造になっているので暗闇でも見えるのではないかと思います。

 

海底の小魚は金目が近づいても目があまり見えないので、金目としては餌を獲りやすいと言うことも太古から金目鯛が生存出来た理由のひとつと考えられます。金目鯛は5~6年ぐらいの寿命があるのではないかと思われます。

 

また、伊豆稲取は日本一の金目の美味しい町と言われています。町民体育祭や運動会で“金目音頭”を皆で踊ったりしています。でも、漁師や海の恵みに感謝している人がいるでしょうか。一度子供たちにもいろいろ教えておくことが大人の務めではないかと自分自身反省しています。漁師に感謝、金目に感謝。

                つづく(次回は鰭―ヒレ―のお話)