<><><><><><><><><><><><><><><><><><>

買物で駆けつけたのだが2023/09/30

朝刊にざっと目を通し終わってから折り込みチラシを見たら、ハンディHCで安売りの広告が目に入った。余命に見合った安物を考えていたところだったので直ちに反応して、即、ゴー。乗った電車は伊豆急の「リゾート」。土曜日で覚悟していたが、外国人観光客が大勢乗っていた。それでも僅かに空いている席を見つけた。乗客は殆どノーマスク。自然とマスクに手がゆく。危険と思われる状況に出合うと、マスクに隙間がないかチェックする習慣が身に付いている。ただ、車内がいたって静かなのが嬉しい。ひところは、外人は電車の中でもやかましい、というイメージがあったのに。 

蓮台寺駅に降り立って時計を見ると未だ10時前。暫く待たねばと思いながら橋を渡ってHCに到着したら、時間前なのに既に開店していたのには驚いた。客が続々と入場している。中に入るとレジ待ちの人でさえ並んでいた。みんなあのチラシ広告に血迷ったか? そういう私自身もその一人で、前述のように“どうせ余命はたかが知れている” のなら、安物で充分こと足りるという投げやりな“論理”で駆けつけてきたのである。 

                               ダイヤモンド シャワー?

ここで「余命に見合った」とか、「余命はたかが知れている」とか、いじけたものの言い方をしているが、体に異変があって医師から余命の幾ばくかを宣告されたわけではない。老境に入って単純に天命が刻々と近づいてきていると認識しているだけの話である。伊豆に移住して15年があっという間に過ぎ去ろうとしているのを身に染みて感じているということなのだ。間もなく数日で83才になる。今後、15年もの長年月をもう一度とは常識的にはとても考えられない。ここにきてジタバタしても仕方ない。せめて一日一日を心豊かに過ごしてゆきたい、と思うのが並の人間の考えることだろう。しかし、「心豊かに」というのがなかなか難しい。あらためてそんな大それた言葉を大上段に構えてすべてが通るものではない。今日のモタモタした一日をここに白状してみよう。 

チラシで見た買物は5点を考えていたのが結局は2点だけに終わった。それでも前から懸念していたものが手に入り、ある程度満足して蓮台寺駅に戻った。時刻は11時10分前。駅構内の壁に貼られた電車の時刻表を先ず調べる。11時台の上りを確認すると、実際には05分と45分の二つがあった。ところが何を考えていたのか、次の電車は45分も待たねばならない、と認識してしまった。とにかく、構外に据え付けてあるベンチで自販機のコーヒーでも飲みながら、電車をこのまま待つか、ぶらぶら次の駅の稲梓まで歩くか考えることに。 

今日も夏日が復活して陽に当ると暑い。この駅は無人駅なのでエアコンは入っていないから日陰の外の方が涼しい。ベンチに座って冷たいコーヒーを飲んでも、私の脳には11時05分の数字が全く浮かんでこなかった。ただ、暑い外を歩くか、このまま45分まで待つかだけを、ああでもないこうでもないと決めかねていた。そして一定の時間が過ぎて咽喉を潤し終わったところで、一人のご婦人が日傘をたたみながら近づいてきた。その時やっとその気になった。よし、歩こうと立ち上がったのである。 ---つづく