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サザエがゴクウマ2009/08/22

旧魚市場で
久しぶりに港の朝市をのぞいてきました。
10時を過ぎて遅すぎたのでしょうか、客の姿はチラホラ程度で、とにかく活気がありません。

キューリ2本で100円、ナス3個100円、そしてゴーヤ1本100円は安くないですね。今年は冷夏の影響があるとはいえ、稲取の物価は他と比べて高いと聞きます。

ただし、サザエが100グラム170円とありましたので、2個買いました。合計640円です。これはあとで夕食に焼いて食べましたが、実に旨い。また買って食べようという話になりました。

野菜のほかに焼きそばやお弁当を買って、さてどこで食事しようかと女房殿と相談します。今朝は曇で、埠頭あたりで潮風に吹かれながらと考えていたのが、この時刻になって何とカンカンに照り始めたではありませんか!

結局、自宅で食事と相なり、その前に旧魚市場の軒を借りて涼んでから帰ることにしました。屋根と柱だけの小屋のような中は風が通っています。

ふと、隅のほうに目をやると、おじいさんが椅子に座ってうたたねしています。しばらくして、私たちの入ってきた物音で目を開けました。

邪魔を詫びてから、二人とも傍の椅子に座り込みました。ちょうどそのとき、比較的大型の船が帰ってきました。クレーンを載せていて、いつもは市場前の波止場の先端に係留しています。

見ていると、指定席についてから何やらクレーンを使って荷揚げしています。おじいさんが言いました。
「あれは傷んだ網を引き揚げてきたんだ。網目に藻だとかいろんなものがくっ付くからね」
この船はネコセ(定置網)にかかった魚を引き揚げる船で、今やっているのは網を回収して修理する作業だというわけです。

「あの船が出てゆくのをあまり見かけませんけどね」
「いや、毎日出てるよ。様子を見ては引き揚げてるんだよ」

この港で一番大きな船はその隣に係留されている釣り船です。この船もたまにしか出てないと私が言うと、おじいさんはうなずいて言いました。
「客が少なくなっているからね。ただね、あの船は客が一人や二人だと出ないんだな。油代にもならないと言ってね。こっちの小さいほうは一人でも出てるよ」

次いで祭の話になりました。
スサノオ神社の神輿のお下りは西町、東町、田町、入谷の順送りの当番地区が担当するのだそうです。この神社は田町(向井)にあるので、私は当然、田町の若衆が担当するものとばかり思っていました。

それにしても昔のお祭は荒っぽかったそうです。今は昼間から酒はやらないし、祭だからといって天下御免とはゆかないと言います。

それから、どんつく神社の立派なご神体は観光用のものだが、スサノオ神社の‘いちもつ’は古くから伝わってきたものだということでした。

新潟の魚沼出身だという、この好々爺には5人のお子さまがいるそうです。横浜に住んでいる娘はちょいちょい電話をくれるが、他の身近にいる子たちは親孝行の‘こ’文字もないと笑っていました。

2年前に大腸がんの手術をしたというこの81歳の元気なおじいさんは、その後は再発の心配もなく息子たちに船を任せ、網の手入れなどをして後押ししているそうです。

気が付くとお昼を過ぎていました。私たちが席を立つと、胴巻きからケイタイを取り出し、時間を確認してから颯爽とバイクにまたがって、役場のほうへと走り去りました。その恰好のよいこと。負けました!