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ピッケル2017/01/31

ピッケルを処分することにした。町のクリーンセンターに電話したら、不燃粗大ゴミとして引き取ってくれるという。シャフトの長い方は未だ使えそうだが、今やもう雪山どころではない。山歩きは遠い記憶の中にのみ存在するだけだ。

 

もう一つの短いシャフトの方はシャフトの覆いの部分が裂けてしまっている。この思い出は強烈だ。中央アルプスの千畳敷から空木岳へ縦走したときのハプニングである。

 

空木岳の頂上直下に山荘がある。「駒津峰」と言ったかな?この小屋の利用は事前に許可が必要だった。でも、それを知ったのは後になってからだった。夕闇が迫り、山頂から下ってすぐの小屋に希望を託したのは言うまでもない。ところが、扉は簡単に開かなかった。

 

途中の檜尾小屋では雪を払って何とか中に入れたのに、この小屋の扉は開かなかった。焦った私は扉にピッケルをかまして強引に開けようとしてみた。ところが、凍てついた扉はガンとして開かなかった。そして、ついにピッケルのシャフトの覆いに亀裂が入ってしまった。

 

仕方なく、風雪を避けて小屋の風下に廻り、急いでザックからツエルトを取り出すと、細紐を何とか小屋に繋ぎ、ツエルト内に空間を設けた。中に入っても靴を履いたままである。炊事などしている余裕はなかった。だが、雪をかき集めて湯を沸かし、熱いコーヒーと何がしかの食べ物をオナカに流し込んで、靴を履いたままシュラーフに潜りこんだ。

https://www49.atwiki.jp/hana11re/pages/27.html#1

 

このピッケルはシャフトが少しグラグラしてしまったが、幸い下山の使用には問題はなかった。長い方のピッケルはその後に購入したものだ。いずれも冬山の私の良き相棒だった。手放すのは惜しく寂しいが、それも詮無いことだ。

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