チョコホイ ― 2010/07/28
朝のそぞろ歩き。真夏の暑い日差しも未だやわらかく、優しく斜めに投げかけてくる。森の中に入ると、道の両脇から高木の枝葉が頭上を覆い、木漏れ日がわずかに足元の枯葉をチラチラと照らす。
どこからともなく漂ってくる香りはドクダミのそれか?私はこのニオイは嫌いではない。清新で鼻につんときそうな、気の強そうなこの香りは紫蘇の葉を食べたときの味わいに似ている。歩みを止めて天然のアロマを胸いっぱいに吸い込む。
山からの下りでコジュケイの親子連れに出会った。あのチョコホイである。二羽が何かぶつぶつ云っている。逃げていかないので不思議に思いながら近寄ると、向こうも私の前に敢然と立ちはだかった。一羽が私の足元近くをぎゃあぎゃあ言いながら横切り、もう一羽は羽を広げて、それがあたかも傷ついているかのように見せながら、あらぬほうへヨチヨチと歩き出した。
何と、これは野鳥の偽傷行為ではないか!だとすると、近くにコドモがいるはずである。枯れた落ち葉がヒョコヒョコ動いた。ヒヨコだ!離れたところにもう一羽。枯葉につまずいた四、五センチほどの‘毛玉’。
この場はそうっと通らせてもらい、そこを離れた。あんなに小さなヒヨコを見たのは初めてである。一瞬、数年前にカルガモの雛を掌に載せたときの感触を思い出した。ふんわりして暖かく毛玉のよう。
二羽の雛と二羽の親鳥が一緒に行動していたのは、これが一家だとしたら雌雄の親が子育てしていることになる。野鳥の世界では雌雄が共に子育てするのは珍しくないが、少数派である。或いは、コジュケイは雌が雛を育てるとしたら、お隣さんどうしの二家族で散歩していたことになる。個体意識が強く縄張りを主張する傾向のある野鳥でも、群れを成して行動する例は決して少なくはない。
二羽の親の頬と胸の赤褐色が鮮やかだった。コジュケイは雌雄共にきれいなトリである。
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