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マグロ漁とイルカ漁2014/05/22

若宮さん
今朝は港をぐるりと回った後、東町の八幡小路を歩いてみました。路地をぶらぶら行くと、ところどころでお年寄りたちに出会います。たいていはベンチや石垣などに座って話を交わしています。話のネタは彼らの現役の頃のものなのでしょうか、それともどなたかの噂話でしょうか?

“若宮さん”の石段を上がって頭を垂れてから、更にその裏の路地に入ると、軒を連ねた奥の方に玄関の前で椅子に腰かけたお年寄りがいました。この路地の先は石段を上がって“さんごう”さんまで行けるかなと思ったのですが、そこで行き止まりだと教えてくれました。

彼、OKMさんは10年ほど前に体をこわして船を降りました。その頃、奥様が上河津の施設に入所、そしてご長男の不幸なども重なって大変だったようです。今はお孫さんもそれぞれ独立して、お嫁さんとの二人暮らし。しかも、お嫁さんはお仕事というわけで、日中は手持ち無沙汰な日々を過ごしているようです。

漁師をしていて忘れられないことと言えば、70キロものマグロを釣ったことでした。余りにも重いので、一人では船に揚げることも出来ず、紐で引っ張って港に帰還したそうです。当然、大漁旗を翻して帰って来たのです。港では大勢の仲間が迎えてくれ、一緒になって陸揚げしたのでした。獲物は市場では解体できず、直ちに築地へと出荷されました。暫くは遊んで暮らせるほどの獲物でした。家では親戚一同が集まってお祝いしたものです。

マグロを捉えた場所は稲取と大島のほぼ中間。今ではマグロ漁などめったに聞かれなくなりましたが、イルカ漁も全くなくなりました。彼の話では、イルカ漁は同じ漁師だったお父上の代にはなく、彼の時代になって盛んになったということです。意外に最近のことだったのですね。直径5センチほどの竹竿でもって海面をみんなでバタバタ叩き、港の中に追い込む手法で捉えたのでした。彼も海に飛び込んで、イルカと一緒にジュード―バレー(十王堂払い)まで泳いだと言います。

現在86歳と言いますから、昭和一桁生まれ、まだまだ貴重なお話しを聞けそうですが、またの機会に譲ってこの辺でお別れしました。