露草 ― 2011/06/07
薄暗い路傍や小川の岸などに白い常盤露草をよく見かけます。5月の初め頃から咲きはじめ、今では一面に群落を作っています。白い三角形のコンペイトウのような綺麗な花なのに、ジメジメした場所がお好きなようです。
しかし、梅雨どきの露草科の主役は何と言っても、露草ですね。6月に入ってようやく一つ二つと目につき始めました。まだ咲きだしたばかりで、梅雨とともにこれからが本番です。
露草は紺青の花びらがことのほか美しく、高貴な香りを感じさせます。こちらのほうは堂々と日の当たる場所に咲きます。朝露を受けて咲きはじめ、午後にはしぼむとか。
去年一面にびっしり咲いていた東中川の畑では、その隅に遠慮がちに姿を現した露草の葉に、やはり、小さな玉の梅雨が置かれていました。
道草 三題 ― 2011/06/08
天王さんの坂下で坂道の雑草刈りをしていた禰宜のSさん
「今年の祭礼は自粛ムードがあって、若しかしたら規模が小さくなるかも知れない」
近く、町の役員さんが集って協議するそうです。夏祭りももう来月です。
“十王堂バレー”の近くで車から降りたオカミサン
「仕事帰りだから、生くさいよ。あんたたち、よく歩くね。ウチでもね、犬がこの前までいたから歩いたけどね。犬でもいないと歩かなくなるね。この間なんか、一人で歩いていて転んで肩を脱臼しちゃったよ。元通りになるのに3週間もかかったわ。骨折してなかったからよかったけどね」
愛犬は17年も連れ添った大型犬で、老衰で立っていられず腹んばいの状態だったとのこと。今はまだ新たに犬を飼う気にはならないということです。
自宅の納戸脇で釣り糸にイカを付けているテングサ漁のKさん
「SO2,SO3というのはSOが静岡のことで、2や3は総トン数を区別しているんだ」
キャビンの壁に書かれている数字のお話です。
2は100トン未満~5トン以上の動力船、3は5トン未満の動力船で、100トン以上は1だそうです。
きのうは海女さんが三重に出稼ぎに行っているから、テングサ漁はお休みでした。
イチゴとビワ ― 2011/06/09
イチゴ狩りもそろそろ終わりを迎えたようですが、暫くの間空き家だった東田の上の苗床にイチゴの苗が揃いました。これから雨をたっぷり受けることになるわけです。去年は真夏の間、スプリンクラーで水やりをしていました。
10月に入ると出荷を始めるので、あとはそれぞれハウスで育てることになるのだと思います。イチゴは水やりと温床が必要なのですね。去年開園した金指イチゴ園ではハウスに入れて2か月足らずで赤い実が生りだしたのを覚えています。
最近、ビワ(枇杷)の実がだいぶ色づいてきました。この稲取では、こんなにもビワの木があったかなと思うくらい、行く先々で目にします。去年まではこれほど多くを見かけた記憶がないので、あるいは、今年は豊作の年なのかとも考えてしまいます。
でも、実際どれだけのビワの木が人の手でその実を収穫されるのかわかりません。去年天王さんの近くの旧国道に近いほうのビワは猿が殆ど食べてしまった話を聞いています。
ビワの実は最近では口にしたことはありませんが、子どものころによく食べた記憶があります。ほど良い甘さで、種が大きいわりに果肉との間に水分が多く含まれていたように思います。ところで、隣の家の柿はとって食べた覚えはあるけど、ビワはどこの家のをとって食べたのかなあ?
ウイキペディアによると、ビワの葉は大薬王樹とも呼ばれ、生薬として直接患部に当てると鎮痛作用があるそうです。実はジャムやゼリーにもなるし、猿に独り占めされるのはもったいない。
沼津川の水源 ― 2011/06/10
民宿「やっさか」のご主人が庭で草取りをしていたので、「やっさか」の由来を訊いてみると、先日妹さんが言っていたように、やはり、祭り好きのご親戚がよく口に出した「やっさか、どっこい」が、いつか呼び名になったということでした。
ご主人は他に「カラス」や「ケチ」の屋号も近所にあるとのこと。「カラス」の場合は、この方が毎朝早くから散歩に出るので、まるでカラスのようだという話が呼び名になったとか。当時、海岸にはカラスがのさばっていたらしい。
これらの屋号はどちらかと言えば、綽名(あだな)ですね。カラスは朝早くから獲物をあさってやかましい。あの人は朝早くからカラスのような人だというような、嘲りを含んだ愛嬌ある綽名だったのでは?「ケチ」なんかはその最たるものです。
おもしろいのは、その綽名をご本人が受け入れて屋号に昇華させるほど度量があったことです。つまりそれだけ地域社会との結びつきが強かったというべきでしょうか。
話を変えて、この春、宿の裏のハナモモが見事なものでしたが、その奥に沼津川の水源があって、今でも道があるから行ってみな、というので宿の玄関前から降りてみました。
畑の脇を降りてゆくと確かに道形らしきものがあります。ただ、草ぼうぼうで朝露に濡れています。意を決してそこへ突っ込んでゆくと、横倒しの木が邪魔をしていました。でも、そのそばに境界標柱のようなものがあり、そこを回り込んで更に進むと竹藪の先が断崖のように透かして見えます。水が迸り落ちる音が聞こえました。
しかし、無理をせず、今回はここで諦めました。歩きやすくなる冬場にまたトライすることにしましょう。この水源は昔は周辺の人たちにとって貴重な水場だったそうですから、きっと何か印になるようなものが残っているはずです。しばらくのあいだ棚上げです。
ニホンカワトンボ ― 2011/06/11
一望閣から田代山栄昌院の門前を通って入谷道へ抜ける道は、愛宕山の北側を巻いて上がる急な道です。二つ掘りを経由しないで直接下平塚に出られるので、時々この道を歩くことで気分を変えています。
きのうはその急な上り坂で翅が赤橙色のきれいなトンボを見つけました。ひらひらと飛んでいる様子が蝶の羽ばたきに似てなかなか優雅です。コンクリートの道に下りて翅を休め、またひらひらと舞いを繰り返していました。
今それを思い出してネットで調べてみたら、どうやらニホンカワトンボのようです。トンボも近縁種がいろいろあって、同定がなかなか難しいようですが、最近ではDNA鑑定で容易に識別されるようです。
稲取では梅雨時にいろいろ変わった生きものが登場します。見逃さないように気を付けていたいと思います。
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