田植えが終わった田圃 ― 2011/07/02
向田の田植えのその後がどんな状態になっているか気になって訪ねてみると、緑の穂が幾分背を伸ばして真っ直ぐに天を仰いでいました。わずか中三日しか経っていないのに立派な生育ぶりです。
たまたま田圃を見ながら木陰で休んでいた“うわん丈”さんの話では、田圃に手を入れてみたら結構しっかりと泥土にはまっていたそうです。田圃に斜めに刺さった苗も土中で枝葉が分岐して真っ直ぐに伸びるということでした。
この田植のやりかたは戦後になって、同じような環境下の東北のほうで行われていたのをこの棚田で採用したらしい。中の平でも新田開拓当初はこのやり方だったが、かつて稲取の他の水田では腰をかがめて手で植え付ける本来のやり方だったということです。
ただ、さすがに強風には弱いという言葉も出てきました。あとは田植方法とは関係なく、去年のような極端に暑い夏の気温がつづくと、穂に白い筋ができる何とか病が発生したり、他の害虫が発生するのを心配していました。
ふと、棚田の中ほどに目をやると、カルガモがいるではありませんか!やっぱりやって来たのです。一羽だけがあぜ道に上がって休んでいます。“うわん丈”さんはヒナも一緒に連れてきたと言います。このカモの到来は十年くらい前から始まったようだとのことでした。
アイガモを田に放っている農家も多いと聞きます。ここでは害虫を駆除してくれる強い味方が期せずして得られたわけです。去年の不作を今年は取り返さなければ。
船揚場 ― 2011/07/03
ミカン畑の草取り ― 2011/07/06
「家の中にいるより、こうして外にいたほうが気分がすっきりするの」オバアチャンが一人、畑の草取りをしていました。愛宕山の東の台地にミカン畑やハウスが並んでいます。珍しく、茶畑もあります。
「ここは湧水もあるのよ。昔は下へ流れて飲み水にもなっていたけど、この上から排水を流すのにコンクリートで工事してからは飲めなくなったの。でも、ウチだけで湧水の分を使ってるわ。夏は冷たいし、冬は湯気が出る」
立ち上がって話をつづける彼女は背筋がスラーッとして若々しい。「わたしは本が好きだけど、最近は面倒になって、雑誌に目を通すくらいになっちゃったわ。娘も本が好きで、横浜のマンションの部屋中に本があったのは、わたしの影響かしら」
「でもね、この子はこのあいだ乳がんで亡くなったの。一度はよくなったんだけどね。本は欲しいと言う人にあげたけど、それでも処分するのにトラックを頼んだのよ」
娘さんは享年50歳だったそうです。オバアチャンはもともとここの生まれで、長じて東京で一人暮らしをしていたが、実家を継ぐために戻ってきたという。連れ合いも数年前に80でなくなったとのこと。
「三人娘の長女だったから仕方なかったのよ。当時は田舎に帰るのはいやだったけど、今になってみると、ここの生活のほうが良かった。何かとギスギスしていて味気ない都会暮らしはやっぱり若い人向きね」
まだまだ面白い話が聞けそうです。でも、暑い日差しの下では、オバアチャンの健康を考えると長話は禁物です。話のつづきはまた機会があったら伺うことにして、今日のところはこの辺で遠慮することにしました。
トウモロコシ ― 2011/07/07

今、どこの畑を見てもトウモロコシが頭にススキの穂のようなものをいただき、実の先にヒゲモジャをいっぱいに付けています。
いつものように“田の上”の畑で立派なトウモロコシ畑を見てから、念仏堂の前の道に入り入谷道に出たところで、下から上がってきたオジイサンと目が合いました。買い物袋を提げています。先日、下平塚でお会いした方でした。
下平塚の馬頭観音碑の手前に水下の最後の民家が2,3軒あります。オジイサンはその一軒のご主人でした。「家の中でぶらぶらしていたら、バアサンに追い出されてしまったよ。買い物を言いつかってね」
今見てきたトウモロコシの話をすると、この辺でも猿の被害にあっていると言います。私の想像ではイノシシか台湾リスのせいだろうと思っていました。特に台湾リスは水下のあちこちで人が近づくとガチャガチャ騒々しいのです。
中身がきれいにほじくり出されて皮だけになっている夏みかんを、道端でよく目にします。やっぱり台湾リスの仕業ではないかと思うのですが、猿も出没するらしいのです。でも、猿はいつぞや食いちぎって食べていたのを見たことがあります。
お宅の前に来て、隣のこの方の畑にもトウモロコシが生っていて、収穫はもう少し先といったところでしょうか。他にカボチャやトマトも枝を伸ばしています。「猿にやられなければいいがな」とオジイサンは言いながら、顔は笑っていました。
今や左官の仕事を引退して唯一の楽しみが菜園いじりだそうです。三階建ての立派な家と菜園を持って悠々自適のオジイサンでした。
一年の集大成 ― 2011/07/09
散歩に出るのにカメラを手にするようになったのは、それほど前のことではありません。いつぞや、ある方から文化祭に写真集を出したらと言われて、本人その気になって、それではと本気で題材を探しながらカメラのシャッターを切ってきました。
去年の夏から今年の夏までで写真は一千数百枚を越えました。めぼしいものを残して他は思い切って外しても、千枚近くを編集しなければなりません。編集の方針が定まらないと、先へ進めないので、その辺が一番の問題でした。
今回はやはり志津摩の田植え風景が大きなインパクトを持っていましたから、その周辺の農作業を中心にして季節を動かしてみようと決めました。ただ、秋の文化祭を目標にすると、この夏の時期で切らなければならないので、去年の7月から今年の6月までの一年ということになります。
写真集は当然にも印刷したもので、その前の段階としてスライドショーをビデオに作成してみようと考えています。写真のエントリーは終えて、今は背景にする音楽を選んでいるところです。
手元にある音楽CDをPCに取り込んでスライドショーに合わせようとしていますが、各シーンに相応しい音楽を探すのはなかなか難しいものです。
それともう一つは膨大な数の写真を一つにまとめるのには、DVDでは収まりきれず、ブルーレイを使うことになります。去年の暮に新調したPCにはそのドライブが付いているのに、まだ試したことがありません。
テレビの録画は度々ブルーレイに収めており、その画質の劣化のなさに感嘆しています。そんなわけで、自前のブルーレイの出来上がりを秘かに期待しているところです。
最近のコメント