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キツネとネズミ ― 2014/06/08
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稲取八幡神社の境内に妙な石像物があるのを、以前にも当ブログで紹介したことがあります。鳥居を潜って石段を上がり、頼朝ゆかりの水垢離の井戸や赤い小祠が並んだ石塀の並びの奥にそれがあります。
一見して、小動物が膝元のネズミをあやしているような風体で、高さ40センチ、幅15センチ、奥行き30センチくらいの彫り物です。ネズミはある程度確かなものに見えます。でも、最初はそれを優しく見つめているのが、オカッパ頭の女の子に見えたのでしたが、後ろのお尻の辺りに尻尾が覗いているので、犬かなと思ったのでした。
さて、近所に人がいないかと、境内を出て八幡小路に入ったら、運よく東町の住人でいつも顔を見る方がこちらに向って歩いてきました。早速訊いてみると埒があきません。そこで現場を見てもらったのですが、こんなものは初めて見たと言います。私は2,3年も前に見ているのです。
この方は木彫りの彫刻師なので、何かヒントになるような所見を期待していました。でも、特別なコメントはありません。ただ、ネズミは間違いないとして、犬ではなく猫だろうと言います。言われてみれば、膝元の足の感じが猫のそれのように見えます。
<折角なので宮司さん了解のもとに、空いた台座に載せておきました>
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その後、先代の宮司さんが顔をだしてくれたので、これ幸いと訊いてみました。しかし、彼もこの石像物の存在を知らなかったらしく、どういう経緯でここに鎮座するようになったか不明だとのこと。
この石塀の並びには朱塗りの小祠のお稲荷さんがズラーッと並んでいます。中には台座だけのものもあります。誰かが、置き場所がなくなったがために、この境内に置いたのだろうというお話しでした。
それに、これは猫ではなくキツネだとキッパリと断定されたのはさすがです。猫とネズミとの単なる生態系での食う食われるの関係ではなく、信仰上の関係と捉えるべきだと言うのです。つまり、神さまの使いとしてキツネがネズミを捕食してくれると捉えるべきだと言うのです。キツネはネズミが大好物だそうですね。
八代一族の守護神である熊野権現の祠の台座にネズミの彫刻がしてあったのを思い出します。大昔から、農作物を荒らすネズミのような存在は悩みの種だったに違いないのです。権現様の使いとしての奇獣のもとに跪いたネズミ、そしてお稲荷さんの使いとしてのキツネの膝元にあるネズミは故なしとしないということでしょうか。
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