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”ごさんの桐”2014/06/09

稲取八幡様境内の奇妙な石像物については、先代の宮司さんからも真相を聞く
ことが出来ませんでしたが、この時に居合わせたもう一人の方は木彫を良くする人で、玄関にその力作を並べているのを知らない人はいません。

 

私が、これは売り物か訊ねたところ、「気に入ったのがあったら、持って行け」といって、部屋の中にあるものまで見せてくれました。上がり框(がまち)には彫刻刀が何本も転がっていました。
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鉢の上に置いた植物の作品はかなり精巧なもので、挿し木という技法を使ったものだそうです。一本の木を浮き彫りして制作したのではないとのこと。彼は盛んに“いちき造り”ではないと強調していましたが、どうやら、“一木(いちぼく)造り”のことを言っていたようです。

 

こうした作品は神社やお寺などに合った雰囲気を持っています。それを証明したものをやはり八幡神社で見つけました。実は拝殿前の賽銭箱に取り付けてある紋章は彼の作品なんだそうです。花序の数が3,5,3の“ごさんの桐”ということでした。
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ネットで調べると、やはり紋章の正しい名称であることがわかりました。ちなみに、花序の数が5,7,5の場合は“ごしちの桐”ということになります。

 

彼は元々は鉄鋼関係の仕事をしていたらしく、木彫とは無縁だったようです。でも、僅か6年にして、これだけの作品ができる彫師としての筋は見上げたものです。また、人懐っこく穏やかな人ですが、体調が芳しくないと言っていたのが気になります。まだお若いようですので、体を立て直して制作に励んで欲しいと思います。