白田親水公園にて ― 2024/07/05
一昨日の奈良本の図書館からの帰途、大抵白田親水公園に寄ってバスの時間待ち調整をします。今回の先客は5月にお会いしたおばちゃんではありませんでした。ベンチに座ってグレーのネコと遊んでいました。傍らには手提げ袋があり、何やらいっぱい詰まっています。多分、ネコのエサなのでしょう。声を掛けたらやっと顔を上げてくれました。白い帽子からはみ出した銀髪がお年を感じさせます。「この子はね、しょっちゅう躰をすり寄せてきて可愛いのよね」
傍らに置かれた白い小皿はいつもの小皿です。エサが少しだけ残っていました。どうやらそろそろ引き上げるところのようでした。「私が帰るといつも付いてくるの。それが困るのよ」彼女は一つ家に三人姉妹で住んでいると言います。下の妹がネコ嫌いで、家の中にネコは絶対に入れないそうだ。彼女は真ん中で88才、姉が92才で妹が78才と聞いてかなりの高齢家族なので驚いた。しかも、88才のこの方自身が随分お元気なようで、帰りに立ち上がってスタスタ歩く姿が実にかくしゃくとしているのです。
かつて、飼い犬が躰を私の足に摺り寄せて甘えを見せることが散歩中に度々ありましたが、ネコに甘えられるのは、私の子供時代を除けば殆どありません。ましてや、野良ネコにすり寄られるとは!このグレーが初めてです。グレーはネコ属ではかなり大きい方で、丸々としています。こうして皆さんに可愛がられ、エサにも心配がなくなると人間と同じように気持ちにゆとりが出て来るのでしょうか、目つきも良いし毛並みも奇麗に見えます。このオバアチャンによれば、グレーの名は“クーちゃん”だと言います。ここで最初は“きゅーちゃん”と呼んでいたのが、今はクーちゃんなのだそうです。よく食ってばかりいるからクーちゃん?それが時にきゅーちゃんになり、また本来のクーちゃんにもどったのかな?何しろ、グレーは丸々と肥えているのですから。
何度目かに「帰らなくちゃ」と言ってようやく立ち上がった銀髪のオバアチャン。池の周りをまわって片瀬白田駅の方角に歩いてゆきました。しかし、グレーの“クーちゃん”は私の足元に横になったまま動きません。私は内心“シマッタ!”と思いながら、あわてて立ち上がりました。そして国道側からバス停白田海岸へと向かいます。しかし、グレーは付いて来ません。ホッと胸をなでおろしたのでした。
白田川親水公園のもう一方の主役、三毛ネコは最初から最後までベンチに反対側の少し離れた池の端で躰を伸ばして横になったままでした。時々当方へ上目遣いに一瞥をくれる程度です。5月に訪れた時は三毛がオバちゃんに甘えていたのに、今回は88才のオバアチャンに甘えていたのはグレーの方です。ほぼ同時刻のことです。ひょっとすると、三毛とグレーとが暗黙の了解の上でそれぞれ甘える相手を決めているのかも知れません。先月は庇護者がおらず、三毛はベンチの下で横になっており、小皿のエサを巡ってカラスとの駆け引きであわやバトルが始まりそうな場面でした。そこでグレーがその大きな体躯を利してカラスに対抗していたのです。エサは勿論、三毛を護っているように見えました。立派な絆で結ばれているではありませんか。
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