<><><><><><><><><><><><><><><><><><>

「3.11鎮魂さくら」2015/11/21

.
天嶺山の南尾根を林道手前まで下りてきたら、倉庫のようなものが目の前にあった。周りが造成されて下部には既に太陽光発電装置が設置されていた。倉庫から林道に下りる道を辿ると、その南斜面が伐採されて海に向って明るく拓けている。林縁でパワーショベルが動き、スリバチ状の斜面でも忙しく立ち働く人がいた。

 

その斜面ではどうやら階段を工事しているようだ。暫くその様子を眺めていたら、その工事人の方が上がってきた。足下には孟宗竹が1mくらいの長さで輪切りにされて山になっている。階段は竹を埋め込んで仕上げていた。

 

輪切りの竹2本を両手に持って、この方が話しかけてきた。「天嶺山から下りてきましたか?」私は邪魔を詫びてから、ここに何が出来るのか訊くと、あの3.11の東北大震災で犠牲になられた方々の鎮魂のための「サクラの広場」だとのこと。

 

サクラは河津桜の新しい品種のもので、現在のサクラより半月から1か月も早く開花するそうだ。オーナーは今ショベルカーで作業中の方で、彼はオーナーの掲げた趣旨に賛同して修善寺から日帰りで応援に来ていると言う。彼自身、こういう大自然の中でゆったりと仕事していると癒される、と何度も強調していた。

 

そのうちにオーナーもショベルカーを停めて上がって来た。ニコニコと温厚な顔立ちの彼は東京から来た者だ、と自己紹介した上でこの工事を始めた動機を話し始めた。そして看板があるから、と下まで案内してくれた。
.

 

看板には次のように書かれていた。「平成23年3月11日に発生した東日本大震災において、極めて多くの尊い生命が奪われました。天嶺山に植樹した桜は、犠牲になられた方々に対し心からご冥福をお祈り申し上げ、この桜を「3.11鎮魂さくら」と命名し、大切に育ててまいります」そして、発起人 伊藤武雄(東京都)、渡辺照義(群馬県)、以下、協力者、植樹者、管理人等の名前がずらりと載っていた。

 

現状までに3年が必要だったが、山の斜面を切り開くのに相当の苦労があったらしい。最初は伊藤さんが一人で木を切り倒し、ショベルカーを駆って植樹が出来る状態に整備した。その後、徐々に賛同者を得て、平成24年度~25年度に55本のサクラを植樹している。今年度には残り40本を予定しているという。

 

「3.11鎮魂さくら」と刻まれたモニュメントの前に噴水池を設置する構想があるらしい。東北の被災地では、各所でボランティアによる桜の植樹の動きが始まっている。遠く離れた河津のこの地から被災された方々に、こうした形で鎮魂の弔意を送り続けるのも一つの方法かもしれない。

 

来年には早咲きの桜がポツポツこの斜面を飾り始めるに違いない。その時期にはまた訪ねてみようと思う。