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くべけえ、えぶり、あかたん2016/02/21


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先週の木曜日に「向田川遊歩道」を歩いてきましたが、「自然椿園」や「石神の滝」周辺では炭焼き窯跡が数か所にもあり、かつて炭焼きが盛んだったことが偲ばれました。

 

稲取の里山でも各所で炭焼きがなされたことは、古老の方々から度々聞いておりました。今朝は久しぶりにお会いしたOさんからいろいろお聞きした中に、炭焼きの実際のお話しもありました。

 

炭焼きの仕事はたくさんの工程があり、従って忙しい仕事なので子どもたちがよく手伝いをさせられたそうです。窯のなかの出来上がった炭と、原木の入れ替えなど簡単な作業が子どもたちの出番でした。この作業を「くべけえ」と言ったそうです。

 

「くべけえ」とは、燃したり焼いたりする物を入れる(くべる)と、「入れ替える」を一緒にした一種の造語)です。そして、この時に遣う道具が「えぶり」(朳、柄振)と聞きました。
伊豆大島
<大洞からの大島 MAP①>

 

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調べてみると、確かに「えぶり」という言葉があるんですね。長い柄の先に横板をクワ(鍬)のように取り付けたもので、畑の土を均すのに使う農具の一つです。ちなみに「えんぶり」という言葉は、東北各地で行われる神事で、八戸の「えんぶり」が有名だとのこと。えんぶりの舞は土を均すような農事を連想させるものだそうです。

 

そのほかに、炭焼き窯で作る木炭には黒炭と白炭の2種類があるということ。黒炭は原木を焼いた後に窯口と煙り出しを塞いでそのまま放置し、冷めてから取り出した炭のこと。

 

一方、白炭は、焼き上がった頃に空気を入れて再度高温で燃やし、真っ赤になった炭を取り出して灰で覆い、消粉をその上にかぶせながら素早く冷やして出来た炭のことです。灰が表面に白く付くのでこの名があるそうですが、Oさんは「赤炭」と呼んでいました。

 

「くべけえ」といい、「えぶり」といい、そして「赤炭」といい、炭焼きの話しのなかでOさんの遣った言葉には、それぞれ確かな意味があったのでした。
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<吉久保みちから 大島 MAP②>