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ウスバタの滝から細野高原2016/02/10

狙っていた通りの風も穏やかな行楽日和。ウスバタの滝を見てきました。1時間余りかけて白田林道を歩き、勝手知った入山口から攻めて首尾よく“怪人ウスバタ号”に再会。

 

かつてウスバタの滝は2度訪ねていますが、ハイキングコースは結構厳しい所に設定されていました。これほどまでのコースだったとは意外であり、記憶もいい加減なものでした。

 

高度400mを越える辺りで沢音が聞こえてきたのは、下り上りの違いはあっても前回と同じで、谷筋にトラロープを発見したときは、今回間違いなく“怪人”と再会できると喜んだものです。ただ、谷へ下りる斜面上の道は気を許せば、ズルズルと滑落の危険があります。

 

最初に谷に降りた所には1本の沢があり、その上部に左右の二股があって、滝は右股から流れ落ちています。今回も過去2回同様、左股から右股に回り込んで滝壺に下りました。記憶していた以上に荘厳、雄大な滝で、思わず般若心経が口を衝いて出てきました。

 

全体に山は小さくとも谷に入れば深山幽谷の雰囲気に包まれ、小心者はかえって落ち着きをなくします。長居は無用と、滝の東側(左股)の急斜面を登り始めました。桃野の628m高点に向ってスタートを切ったのです。この斜面を登って、430~440mの標高の小尾根に乗るまでのアルバイトが、今回の山歩きの最大のポイントでした。
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<④は滝の頭(落ち口)> 

立ち木とステッキに頼って登った先に岩が待ち構えていました。この岩を巻くにはかなり遠回りする必要があります。急斜面でエネルギーのロスを考えたら、この岩をクリアすべきです。しかし、バランスを崩したら、一気に谷へ転落です。

 

コケむした岩は滑りやすく、しかもほんの僅かな足場しかなく、手がかりも逆層で突き出した岩を指で挟み込むしかありません。随分と梃子摺りましたが、ここは手袋をはぎ取り、素手でクライミングして、やっと切り抜けました。

 

こうして小尾根に立ってホッとする間もなく、その末端の先の西側にウスバタの滝の落ち口が予想されました。躊躇することなく、この痩せ尾根を下りました。適当なところで西側の谷に下り、恐る恐る舐め岩をたどります。ギリギリの所まで我慢してから、再び痩せ尾根にしがみついて滝の落ち口を見ると、完全に落下する手前に小さな滝壺が見えました。

 

ウスバタの滝に満足すると痩せ尾根を戻り、更に上を目指します。小尾根が何時の間にか姿を消して広い斜面に替わると、間伐材が到る所に横たわっていました。これをうまくクリアしながら、また、出来る限り緩斜面を選ぼうと南へ直登ではなく南南西に舵をきったりして、遂に待望の林道に躍り出ました。

 

この林道は628mの“桃野山(仮名)”の北側の中腹に付けられており、予定では林道の終点から628m高点に上がるつもりでした。しかし、山中をうろつきまわることにそろそろ嫌気がさしてきて今回はこれまでと、そのまま林道をたどり、桃野湿原に出て、細野高原に広がる黄金色のススキに目を細めながら下山したのでした。