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天王さまの’御くだり’余話 ― 2010/07/18
天王さまの御くだりは、神社の魂、すなわち守護神をお神輿に遷御する儀式から始まります。禰宜、宮司が中に入って扉は閉められ、それが終わるまで一同階段の下で待機することになります。
そして儀式が終わると、中からのノックを合図に扉が開けられ、御くだりが始まります。黒の羽織を着た若衆がお清めの手桶を持って先導し、その後ろに赤天狗、青天狗がつづきます。そして、守護神に控える獅子頭等の一切がその後に従います。
写真をよく見ると、この天狗の首を抑えつけるようにして、立派な“すりこぎ”を持った若衆がそれぞれ寄り沿っているのが分かりますね。
赤天狗、青天狗は‘あかっぱら’と云って、「アカノクビョウタタキダセ」と大声を出しながら、このすりこぎ状の棒で人の背中を突く(金指徹著「稲取風土記」)のだそうです。赤天狗、青天狗は病や悪霊を体現した天狗で、疫病退治の願いから始まったようです。
この‘すりこぎ’状の棒を作るのに、山に入り適当な木を切ってくる苦労を、当時‘切り火若衆’として活躍したフナさんが熱っぽく語ってくれました。
この棒は、いつしかご立派な男性シンボルを模したものに変わったとのことです。稲取ムラのお祭り最終日に入谷・水下の各神社にお参りしたとき、山神社の社殿脇におびただしいほどの数の、そのシンボル棒が立っているのを見つけました。稲取だけではなく、地方では性にたいして実におおらかで開けっぴろげなことがわかります。
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