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マルカの長い旅」2011/08/23

「マルカの長い旅」
購入した課題図書の残りの一冊はミリヤム・プレスラー作、松永美穂訳「マルカの長い旅」

7歳のマルカと、その母親と姉はドイツ軍に占領されていたポーランドから、ハンガリーに占領されていたウクライナへ国境めざして3人で逃亡することになった。ドイツ軍のユダヤ人狩りが始まったからだ。

ところが途中でマルカは足の傷が悪化し、高熱も出して動けなくなってしまう。立ち寄った森の小屋の住人にマルカを委託した母親は、途中で一緒になった同じ逃避行のグループとともに先に出発する決心をする。一刻も早く危険地帯を脱っしなければならない状況下にあって、マルカが動けるようになったら逃亡先へ届けると言う小屋の住人を信じた苦渋の選択だった。

その後、この小屋の住人はユダヤ人を匿っていることによる身の危険を感じ、熱が下がったマルカを連れ出し町の中に置き去りにしてしまう。マルカは知らない町に突然、置いてきぼりにされ、たった一人ぼっちになったことを理解してからは、寒さと飢えを凌ぐため本能的にさまよい歩き、親切な人、不親切な人に出会いながら生き延びてゆく。

マルカの行動が逐一描写される過程で、もう一方の母親のほうは一応安全地帯に逃げ込んだが、幼い娘を置き去りにしてきた罪悪感にさいなまれ、いてもたってもいられなくなる。この親子が再会するまでの厳しい現実の数々は、何処の世界でもあり得る人の世の常。読者はその一つ一つに一喜一憂しながら読み進めてゆくことになる。

マルカが再会した母親に背を向け、途中森の中の生活で愛情を傾けてくれたテレザ小母さんの姿を求めて叫ぶ最後のシーンが印象的である。