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黒根の”ゾレ”2023/12/24

黒根と言えば写真でもわかるように険しい磯で知られている。しかも西風を受ける場所付近の海流が厳しく、釣り人が流されるようなことが過去に起きている。それでも、釣り宿があることからして釣り人に人気がある場所だ。釣り場として知られているポジションは北側から西周りで「平床」、「甚左衛門」、「ゾレ」、「鵜のクソ」の4か所がある。その中で一つだけその名の意味が分からないのがあった。 

実は4か所とも磯へ降りた釣り場だが、いずれもかなりの岩場をこなさなければならない。それでも「平床」と「鵜のクソ」にはロープが張ってある。しかもそのロープはクライミングを良く知る人が設置したと思える立派な“残置ロープ”だ。安心して利用できる。ただし、黒根は一般の釣り人には不適で、ある程度のリスクがあることを肝に銘じておく必要がある。 

ところで、4か所の釣り場の中で、その名の意味が分からないのは“ゾレ”で、そもそも初めてその名を聞いてからもう既に10年が経っている。その間、時として思い出してはこれという人に聞いてみたが全くわからなかった。釣り宿のオーナーなら知っているだろうと、たまたまそこに居合わせた彼に聞いてもみたのだが知らなかった。かつては船大工で釣りをも楽しんだ松山釣具店の店主なら教えてくれたかも知れないと悔やんだものだ。惜しいことにこの宿題を背負う前に鬼籍に入られた。 

さて、ゾレの意味である。先日ネットで検索しているときに、ついでにこのゾレを思い出して調べてみたら、何と驚いたことに一発でヒットしたではないか! それによると、「糸が水流に流されて、仕掛けが動いたり、釣り針が動いたりすること」だそうだ。糸が流されて仕掛けが流れていくことを「ゾレる」といい、またゾレを防ぐ「ゾレ止め」という釣り具もあるとのこと。 

垂れた糸が水に流されるのは釣り人にとってマイナス面だけではないだろうが、太公望(=釣り人)というイメージからすれば“浮き”の一点をジッと見つめ天下の形勢や如何に?と思案する精神統一には糸の流れは邪魔かも知れない。あるいは、糸が流される(ゾレる)ような場所(=危険な水流域)を釣り人に意識させる意味があったのかも知れない。いずれにしても黒根の難問は解決。宿題が一つクリアできた。稲取ではまだまだ宿題がたくさん残っている。またレポートできる日を楽しみに。