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いきいき音読教室2017/09/16

NPO日本朗読文化協会が編集した「声にして楽しむ源氏物語」瀬戸内寂聴訳、という本を購入して読んだのは今から10年以上も前のことでした。この本の中で、瀬戸内さんの訳分の他に専門家によって「朗読」の何たるかが詳説されています。

 

朗読とはいわゆる音読の一つですが、声の芸術であると論じてその技術を分析し、練習の基本を具体的に説いています。一方ただの音読には特に技術はなく、文字を声に出して音声化する行為そのものだと言います。

 

私も実は文字を声に出して読むという行為に興味を覚えた時期があります。最初は中学2年のときでした。夕方、学校から帰ってきて一人寂しいときに、夕刊の記事を一字一句つぶさに声に出して読むという楽しみを覚えたのです。

 

記事は第一面のトップニュースから第二面の内政や外交関係のニュースを隅々まで読みました。毎日毎日続けて読んでゆくうちに、読み方が流暢になってきてハイな気分に酔うようになりました。いつしか、その後は特に国語の時間が楽しみになり、他にも専門的な知識が増えてきたのは自信になりました。

 

それからずっと後になって、世の中パソコンの時代になると、音読したものをCDDVDに焼いて保存するようになりました。これは孫たちに物語を聞かせて本の世界を知ってもらうことが目的であったのですが、結果的には自己満足に過ぎなかったようです。活用することは殆どありませんでした。

 

先日、町の情報配信メールで「いきいき音読教室」が東伊豆町の図書館で開かれると知り、昨日参加してまいりました。出かけるときは、多分、読み聞かせの技術などの講習だろう、と考えておりましたところ、むしろ技術ではなく気軽に音読を楽しむ教室だと説明がありました。

 

この教室は館長さんが実際に開催されている他の図書館を視察した上で、自ら主宰し企画したものです。万葉集や論語、詩、ことわざ等から抜粋した教材をもとに参加者一同が1時間余り、声を合わせて音読を繰り返しました。館長さんの巧みな音頭取りもあって楽しい時間となりました。

 

芸術としての朗読ではなくとも、単に音読することで脳を活性化させるということは私自身、承知していることではあり、最近、特にその必要を感じ時々実践しておりましたが、みなさんと一堂に会して音読を楽しむという新たな発見がありました。素晴らしい機会を提供してくれた館長さんをはじめ、関係者の皆様に感謝したいと思います。