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もう一つのシラヌタの池2018/12/31

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伊豆稲取のクロスカントリーコース一帯は昔から「水乗り」と呼ばれているほど水が豊富なところです。今でも掘削すれば豊富な地下水が出て来ます。現に、昨年この近くで2か所を掘って十分な水流が得られました。町当局がより廉価なコストで水道水を確保しようと、模索をした中の一つの試みだと思います。

 

ところで、クロカンコースのスタート地点の山側にちょっとした池があるのをご存知の方も多いのではないかと思います。これまでは規模の小さい沼のようなものが木の間から散見できると認識していましたが、最近、手前の立木などが手入れされたせいでしょうか、コースからも樹々の間を通してある程度存在感を持って池を眺めることが出来るようになりました。現在は立ち入り禁止になっているエリアです。でも、今回、敢えて一部バリアのない部分から降りてみることにしました。

 

静かなたたずまいから小鳥やアオサギが茂みから一斉に翔び立ちました。しかし、池の水面はさざなみ一つ立っていません。木立の先まで歩を進めると、視界が開けて池の全容が目に入ってきました。決して小さな池ではないのが初めてわかりました。池の中ほどに噴水のようなもの、でも、周りを石垣みたいに囲っただけの、かなり大きな薄べったい円形の造形物が二つ、こちら側からは前後に並んで見えます。何のための造り物なのでしょうか? 単純な疑問です。

 

山に囲まれた池の前方の高みに、青空に映えた白い風車がゆっくりと回転しているのが微かに見えます。そこから視線を対岸に落とすと、岩間から水が絶え間なく流れ落ちています。そしてまた、枝を幾つにも張ったまま水面に横倒しになりながら根っこを水際に残している雑木もあります。ふと気が付くと、透き通った水面に青空と白い雲が浮かんでいました。

 

東伊豆町には天城山の麓にシラヌタの池があります。かつて度々訪れたのは、モリアオガエルが八丁池から引っ越してきたという話よりも、シーンとした深い森の中にまさに明鏡止水の風情を十分に味わうことが出来たからでした。そのシラヌタの池には及びませんが、こちらクロカンの池も捨てたものではないと思います。このまま埋もれた状態にしておくのは如何にももったいない話です。隠れたお宝です。うまくデザインして磨き上げれば、立派な庭園になるのではないでしょうか。