<><><><><><><><><><><><><><><><><><>

ホルトの木がある杜2013/03/12


先週、三筋山から東側の白田林道に降りた際、大峰に取り付く前に大久保の大家のご当主からお話を聞く機会がありました。ごんげんさんの杜(もり)に手を入れているところでした。
 


この杜の町指定の天然記念物ホルトの木は樹高が25mにも及ぶ高木で、150200年の樹齢を誇ります。周りにはシイノキなど、やはり高木が林立して格上の杜を為しています。ご当主は、雑木は伐っても杜全体は後世に残しておきたいと話していました。


ホルトの木と熊野権現


この杜の中に祀られているのが入谷三権現の一つ、大久保の熊野権現です。いつもは閉じている社殿を今日は開けてあると聞いて、中を覗いてみました。6畳ほどの社殿の中にある祠は小祠としては今までに見たこともない荘厳な装飾が施されていました。
 


床はきれいに掃除が行き届いていて、近寄って拝見したいと思いましたが、山靴を履いていたため脱ぐのが億劫になり写真を撮っただけでした。折角、ご当主がおられたのに詳しいお話が聞けなかったのは悔いが残ります。
 


写真を拡大してみると、動物が彫刻されていますが、この世のものと思われない鬼神のようでもあり獅子のようでもあり、豚のようでも。でも、台座に掘られたネズミから全体にネズミをデフォルメしたような印象があります。それと、屋根にまたがったシシのような珍獣が強烈な印象を見る人に与えています。


社殿の中には小さな山車とその上に大太鼓が載っていました。ご当主に訊くと、現在は子どもの数が少なくなって実際には使われることがないと言います。また、俳句のような文字が書かれた横に細長い板が掛かっていましたが、ここで句会でも開かれたのでしょうか?相玉の波夜多麻和気神社で見たのと同じようなものです。入谷の進んだ文化が偲ばれます。

 


この杜の裏手はなだらかな傾斜地で昔はここに棚田があったとのこと。ところが、この脇を流れる志津摩川が氾濫して大岩がいくつも流出し、棚田は全滅したそうです。その後整地した広場にはその大岩が幾つもゴロゴロしていました。

 

当日は白田側に下りてウスバタの滝の場所を特定するという目的があったため、途中で辞することにしましたが、大久保の大家さんにまつわる歴史を垣間見る上で、千載一隅のチャンスを逃したような気が今しています。