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「日本人イヌイット 北極圏に生きる」2011/11/07

録画しておいたNHKのドキュメンタリー番組、「日本人イヌイット 北極圏に生きる」を見ました。

30数年前にグリーンランドの最北の村シエラバークに日本人青年が単独で移住し、現地人と結婚して子供をもうけ、今は何人かの孫に恵まれてイヌイットに同化した生活を送っています。

青年はイヌイットから生きるための技術を教えられて、大自然の中での自給自足の生活に耐えてきました。その技術は狩りが主力です。狩りの獲物を食とし、あるいは売って生活してきました。

映像では日本語を話すのは、もちろん現地語もうまいかつての青年、今のオジイチャンだけです。その息子で今のお父さんは射撃などの腕はオジイチャンを凌ぐほどになっています。

孫の長男イサムくんは10歳になって狩りに参加するようになります。ある日、お父さんと一緒にアパリアスと呼ばれる海鳥を捕獲しにゆきます。飛んできた海鳥の群れを柄の長い網で捕獲するのです。でも、最初はうまく捕れません。

それでも何とか捕獲した海鳥を処理するシーンがありました。お父さんから教えてもらいながらヒヨドリくらいの大きさの海鳥の心臓を押しつぶします。そのとき彼は何とも言えない複雑な表情を見せます。生き物を死に追いやる苦悩の表情でした。

しかし、これは狩猟による生活では避けて通れない行為です。生きるためには他の生き物を犠牲にして口にするしかない。他の生物の命をもらって初めて自分の命を育むことができるのです。

ちなみに、アザラシの内臓を取り出した革袋にこの海鳥を詰めて密封し、地中に埋め込んでおくと発酵して美味な食品となるそうです。

この映画は全編を通して生き物の生命と死の様相が画面に出てきます。人間は生き物の食物連鎖の頂点にいますが、生物の死を見て生命の尊さを教えられるドキュメンタリーでした。