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「ササフラス・スプリングスの七不思議」2012/03/02

「ササフラス・スプリングスの七不思議」 評論社 刊
ベティ・G・バーニー作 マット・フェラン絵 清水奈緒子訳

ササフラスとはクスノキ科の北米東部原産の樹木のことで、ササフラスが茂り、泉(スプリング)が湧き出しているミズーリ州の片田舎の町のお話です。

好奇心旺盛な11歳の少年エベンは「世界の七不思議」の本を読んで、世界の不思議への憧れを訴えます。そんなエベンに父親が「目の前にある驚異が見えないのに、世界へ不思議を探しに行ってもむだなことだ」と言い、この町の不思議を七つ見つけたら、コロラド州への汽車の切符を買ってあげる約束をします。

小さな町なかの通りから“農地や家畜小屋やサイロ以上に目につくものがない”この田舎の町に、興味ある“不思議”が一つ一つ探し当てられてゆきます。小さな“不思議”でも、素晴らしいことがあるということに気が付くのです。つまり、真実を見る目が磨かれてゆくのです。結局、七つの不思議を探し当てた彼は、コロラドとは別のセントルイスへの切符をもらって旅立ちます。

文章は軽妙なタッチでユーモアがあり、一つに訳者の技量に負うところもあるのでしょうが、優れた児童書と言えます。末永く読まれてゆく本であることは間違いないと思います。