<><><><><><><><><><><><><><><><><><>

天子平別荘地2012/03/17


おにぎりを食べていると、60歳前後のオバサンが二人、前を通りかかりました。手を挙げると近づいてきました。先ほど涅槃堂を覗いていた人たちです。
 


「私たち埼玉からきた二人姉妹でーす」


「これからどちらへ?」


「きのう湯ヶ島に泊まってね、今朝、バスに乗って峰温泉で降りたの。河津桜は何回も見てるから、そこの橋を渡って寝釈迦を見てきたの。これから一番外れにある橋まで行って向こう側に渡ったら、もう一度サクラを見たあと城山に登るつもり」
 


ずいぶんムダな歩き方をするなと思いながらも、なかなかの健脚に感心しました。服装も足元もキマッています。ちょうど手頃な可愛いザックを背負っていました。どうやら、筏場の峰大橋まで行って、バス通りを戻ってくるらしい。

オバサンたちにバイバイしたあと、この場所の山側に道が通じているのに気が付きました。山あいに付けられた道かもしれない。とにかく行ってみることにしました。
 


ところが、やはり少し高台にあがったところで道は消えて、そこに民家がありました。山は左右に割れて、水のない小さな谷が上までつづいています。そこに鉄板が渡してあったので、躊躇することなくそれを渡って山に取りつきました。
 


ここから高みを目指せば、先ほど県道から見えた鉄塔経由で別荘地へ上がれるだろうと考えていました。山仕事に歩かれたと思われる踏み跡があって、暫くはそれをたどります。しかし当然にも急な登りで、立木につかまりながらゆっくりと上がってゆきます。今日はいつになく持参したステッキが役立ってくれました。
 


暫く尾根状の背を行き、谷川を見下ろすと大きな堰堤が現れました。そして、反対側は土砂崩れ防止の柵が何段にも出来ていました。踏み跡は工事で使用した跡だったようです。
 


この辺から上には踏み跡がなく、代って獣道が縦横に走り、適当に選んでとにかく這い上がってゆきます。30分ほど喘いで待望の鉄塔に到着しました。石柱に23号とあります。
 


一息入れると、更に上を目指します。ここからは鉄塔の巡視路となっているので道ははっきりしています。大岩がゴロゴロしてきました。中には祭壇にできるような横に平らな立派な岩が横たわっています。

大岩ゴロゴロ尾根


 


途中22号への道と別れてからは城山・片瀬山そして天嶺山と河津の街並みが樹間に垣間見えてきます。鉄塔から10分ほどで遂に別荘地内に躍り出ました。これからは暫くコンクリート舗装の道を歩きます。

 



上へゆくにつれて別荘がそこかしこに現れてきますが、殆ど雨戸が閉じられ人の姿はありません。森閑とした別荘地内をゆきます。ただ、利用されてない他の別荘地と違って全体に明るい感じなのは良く管理されているからでしょう。つまり、シーズンには利用されていることを思わせます。


上から軽トラと乗用車が一台下りてきました。多分、今しがた通り過ぎてきた建築中の家の関係者でしょう。結局、この先にも人の姿は他にありませんでした。
 


さて、別荘地内の道は入り組んでいて枝道に入り込まないように注意しながら、とにかく尾根をはずさないように高みへ向かい、一番の頂点に到着しました。約30分のコンクリ歩きでした。ここに小さな「天文学堂」があり、ほぼ360度の展望が利きます。星の観測でもするのでしょうか。

 
ここから北東に594メートルの高点を目指します。眼前には二つの高まりがあり、奥にある左側の山のほうが高そうです。つまりはこれが594メートル高点でしょう。

しかし、眼前に広がるカヤトの原を突破しなければなりません。気が進まない行進ですが、行くしかありません。でも、実際にはそこかしこに獣道があって大いに助かりました。こういう所にありがちなイバラなどもあまりありませんでした。

 


途中、その高点への取り付きには広いヌタバがありました。こうして「天文学堂」から30分ほどで594メートル高点に到着しました。その印は何もありません。南方に天嶺山、片瀬山、城山、市街地がくっきりと見えます。


さて、ここからは僅かに南寄りの東のほうにはっきりした尾根が緩やかに下っています。これをたどり、見えてきた今井浜のフライイング発着場に途中から見当をつけて下りて行きました。最後のカヤトを払って広場に出ます。

広場では一機のパラグライダーが近くを飛び、地上で二人が見守っていました。話を聞くと、少し風が強すぎるが飛べないコンディションではないとのこと。この場所から今井浜や河津の海岸に直接ラーンディングすることもあるということでした。


このあとは、更に上のフライイング場で大池や大峰山等の展望を楽しみながら昼食を摂って三筋山に向かいます。残された課題はゴルフ場の北側の低い尾根の縦走です。――>