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稲取保育園農園にて2014/09/02

稲取保育園農園
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何日ぶりかでスッキリ晴れた今朝は平並ハイウェーを歩くにも足取りは軽い。夕べ降った雨が空気をいっそう綺麗にしてくれて、キラキラした木漏れ日の中を歩ける幸せを感じます。

 

平並ハイウェーの「稲取保育園農園」まできたら、そこで農作業している方がいました。後でわかったのですが、稲取保育園の理事長、鈴木さんです。トマトの手入れをしているところでした。無駄な枝を伐ったり、“摘果”したりしています。よく見ると、赤く熟したトマトが野鳥の被害にあったのか、つつかれたような傷口を見せています。

 

これは実は野鳥による被害ではなく、蛾や蝶の幼虫が果肉に食い込んで出来たものだそうです。当農園では農薬を一切使っていないため、こうした被害は日常のことだと言います。従って収穫はおのずから限られてしまうとのこと。

 

被害と言えば、この農園でもイノシシに以前酷い目にあっています。サツマイモの収穫を前にしてそっくり見事に喰いつくされました。その痕が何と重戦車が通り過ぎたような凄まじい荒れ方だったそうです。しかも、いつ頃が旬であるかを嗅ぎ分けるのか、その時期を待っていたかのような正確さだったと言います。

 

今日は午後から園児が来て、ピーマンの収穫体験をしてもらうそうです。ピーマンと言えば、ニンジンと並んで子どもたちの嫌いな野菜とされていますが、この農園で毎年収穫にたずさわっているせいか、当園児にはそうした傾向は見られないそうです。これぞ食育なのですね。

 

食育といえば、こんなお話しも聞かせてくれました。この農園で栽培したキャベツの収穫に園児が揃って訪れたときのことです。目の前のキャベツの畝は無残にも荒らされていました。しかも、害獣によるものではなく、人の手で荒らされた痕が残っていたそうです。こういう理不尽な行為の痕を目の前にして園児たちは悲しい思いをし、将来の戒めにしたはずで、更に敢えて、良いことと悪いことの区別をしっかりと教えたそうです。

 

この話には続きがあって、キャベツを盗まれたあとにアオムシが幾つか見つかり、子どもたちは虫が大好きなので、保育園に持って帰りました。しかし、エサにするキャベツを街で買ってきて食べさせたところ、翌日すべてが死んでしまったそうです。人間には微量で人体に影響がなくとも、アオムシには致死量だったのです。これも環境問題の一つとして捉えたことは言うまでもありません。

 

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稲取保育園には前身があって、平成元年に「たちばな童園」を法人として立ち上げたのが発端です。当時、東伊豆町には社会福祉法人の例がなく、鈴木さんご本人も全く知識がなかったため、骨格づくりや体裁をすべて整えるに至るまで大変苦労されたようです。研修に、三島や東京へ何度も通ったということでした。

 

社会福祉法人「たちばな童園」はその後、改修を経て規模を拡大し、更に、平成7年に「稲取保育園」として現在地に移転しました。現在では押しも押されもしない立派な施設を備えています。厨房があるのもその一つで、園児の昼食を自前で提供しているとのことです。

 

この農園で野菜を無農薬で栽培しているのも、園児の食に供するためです。有り難いことに「西の隠居」山田敏昭様から、この土地の提供を受けました。現在の「稲取保育園」があるのは、「西の隠居」をはじめ、多くの方々のご支援があったからだと、最後に話してくれたのが心に残りました。来月には園児による芋ほりがあるとのこと、その時はまたお邪魔したいと思っています。