初雪と初詣で ― 2011/01/10
しかし、私たちにとってずっと親しみのある神社との関係は、苦しいときの神頼み、幸せを願っての神頼み、救いを求めての神頼みではないでしょうか。まあ、きょうはただ神前に立って手を併せ頭を垂れてきましょう。
今朝は雨上がりの清々しい空気。大峰山の稜線には雪の細い帯が伸びていました。
初詣で第2弾は入谷・水下地区の守護神参りです。田の上から中川へ抜ける道で久しぶりに“やました”さんにお会いしました。きょうは熊が沢の上流の畑仕事だそうです。
私が山神社に初詣での途中だと云うと、彼の子供のころには正月に初詣でする習慣はなかったと言います。世のなか戦時一色で、戦勝祈願や無事帰還を願ってのお参りが日常のことだったのです。地域社会の人々の心のよりどころは国家権力によって形を変えられてしまったわけです。
二つ掘りの賽の神様に手を併せてから、すぐ上の愛宕神社にお参りしました。石段を上って杜の中に入ります。松の内を過ぎて静まり返った境内です。社殿の扉や廊下の部分などが真新しく改修されてました。社殿脇の大日如来さまへも忘れずに参拝いたしました。
飯盛山の山神社にも人の気配はありませんでした。石段はきれいに掃き清められて、禰宜の方や地域の方々の思い入れが身に沁みます。
<カニのような頭>
<ムムム・・・。これはまたご立派な!>
雨上がりの清々しい今朝のお参りでした。
どんど焼き ― 2011/01/11
どんど焼きの日が近づいてきて、稲取のあちこちに門松や竹などの山が目についてきました。中でも役場前の広場にはひときわ大きな山が出来ています。
長坂を這い上がって入谷道に出たところの庚申さまや堂の平の賽の神さまがその山に埋もれていたのは、ちょっと頂けない感じがしましたが、神事にまつわることとして特別な意味があるようです。
きょうは役場内のミニ図書館で年配の方からお話を聞く機会がありました。どんど焼きの真ん中に立てる神福竹の竹は入谷の毎年決まった家(東町では屋号土尻、西町は屋号うどんげ、田町地区は屋号あさうらや)の竹林から切らせてもらうのだそうです。“あさうら”とは裏が浅い履物、つまり雪駄のようなものだとのこと。
切った竹はその場で縄にくるんでみんなで担ぎ上げ、それぞれのセー(賽)の神さままで練り歩いたと言います。田町のそのような場所は、郵便局からお惣菜やさんの“めぐみ”へ上がったところの四辻にある賽の神さまだったそうで、隣の大工さんの家が新築になったので、どんど焼きの煙で折角の家が燻されてしまうのを慮って、役場前へと移したということです。もっとも、ご本人は構わないから続けてくれ、と言っていたそうですが。
それというのも、昔、郵便局下の製材やで火事が出たとき、向井・大畑一帯が火に包まれたのに、この大工さんの家がなんともなかったということで、ご本人はどんど焼きのお陰だと信じていたからだそうです。
また、どんど焼きで団子をはさむミツマタが、ヤオハンやカイドで売られているというのも面白いですね。それも350円の値が付いているそうですよ。
赤紙をもらった犬 ― 2011/01/13
今、私たちの周りには何匹かの”近しい犬”がいます。ホクトは膝の悪いおじいちゃんと昼間留守番をし、息子の嫁さんが仕事先から帰宅して、散歩に連れて行ってもらえるまで大人しくしています。近くに猿がよく出没するので、ワンワン吼えて知らせてもくれます。
天王さんのシロはおとうさんと一緒に軽トラの助手席に乗って、野良仕事に出るのを最上の楽しみにしています。普段は部屋の中にいて、私たちが手を振ると、尾を振って答えてくれます。
散歩でよく行きあうリキというマスクの良い柴犬もいます。おとなしい犬でめったに人に吠えません。ジョンくんは一度病気になったが、文化公園の足湯のこぼれ湯に毎日浸かりに来て元気になりました。歳は16歳。もう、後期高齢者だそうです。
後期高齢者と云えば、いきいきセンターの裏通りにある”シューズショップみはる”のマックは高齢でしかも病気もち。可哀そうにお尻の大きな腫瘍のせいで、お座りが出気ません。両足を投げ出して、俯けの格好で顔を上げている姿は痛々しい限りです。
先日は品川ナンバーの車でやってきた獣医に診てもらったらしい。飼い主の若い夫婦は、長い間、連れ添ってくれたから、余生をなるべく幸せにしてあげたいと言います。今は部屋に入れて面倒をみているそうです。白熊のような大きな犬で、ついこの間まで立派な小屋の中で横になって道行く私たちを眺めていました。
さて、アルマ。こちらは”赤紙をもらった” シェパード犬。暮れに録画しておいたテレビ映画の主人公です。アルマは軍犬として戦地に赴きました。そして兵士たちの心強い味方となって活躍し、荒くれの兵士たちに人間らしい感情を甦らせます。最後に語り手が、犬は人に尽くすことしか知らない。ならば人は・・・、と言っていたのが強く印象に残りました。
昭和を通して10万頭もの軍犬が大陸に渡り、帰ってきたのは一頭もいない、というセリフが物悲しく響いたのは、人間世界の事情に翻弄されながらも、最後まで人に尽くすけなげな犬のドラマだったからです。
どんど焼き、万歳! ― 2011/01/14
ハッピを着た世話役がかいがいしく作業を始めました。
あるグループは地面を引っ掻いて金棒を立てます。
他のグループは神福竹を根本から切って短くしています。
既に消防車が2台待機しています。
子どもたちもポツポツ集まってきました。
手に手に団子を刺したミツマタを持っています。
西町、東町で煙が上がりました。歓声が聞こえてきます。
目の前では瞬く間に笹竹の十字印が出来上がってゆきます。
ついに、金棒が立てられた場所にその十字の竹が据えられました。
大きなダルマと、日の丸と鶴が描かれた花笠が掛けられています。
次いで、門松のように松の袴をはいて神福竹が生まれ変わりました。
“お山”をそちらに移動して、さあ、火が点けられました。
お年寄りが言いました。「今年はどんどのなれーだ。吉兆だ」
煙が高く上がって庁舎のほうへ流れてゆきます。
消防団の“若いし”が海に飛び込みました。いや、落とされました。
幼稚園の園児が列を作ってやってきました。
お山がどんどん燃えてゆきます。
・・・
火が弱くなって、ミツマタが四方から差し出され火にかけられました。
間もなくお団子が焼きあがります。
―――どんど焼きの実況中継でした。
トゥットゥ・ヴァ・ベーネ ― 2011/01/15
「トレッリおばあちゃんのスペシャルメニュー」
シャロン・クリーチ作 せな あいこ訳
ロージーとベイリーは隣同士で小さいときから何をするにも一緒だ。ロージーは目の見えないベイリーが大好きで、ベイリーに寄せる気持ちが事あるごとに浮いたり沈んだりする。こんな可愛いお話はどこかのオトナの世界にもあるんじゃないでしょうか?
ロージーは点字を一生懸命勉強して習得し、ベイリーの前で点字の本を読む。ところが、ベイリーは喜ぶどころか機嫌を悪くする。ロージーはおばあちゃんからスープやパスタの作り方を教えてもらいながら、おばあちゃんの昔話を聞いて、ベイリーが何故機嫌を悪くしたのか、人と人との間の心の機微を、次第に理解してゆきます。
ものごとは、トゥット・ヴァ・ノン・ベーネ(すべてはうまくゆかない)
でも、物語の最後はトゥット・ヴァ・ベーネ。
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