<><><><><><><><><><><><><><><><><><>
立木の伐採 ― 2016/01/13
.
私より1年ほど前に稲取に移住した知人のKD氏は、私の“病友”でもあります。彼は数年前に大腸がんになり、手術後2年にして再発、放射線照射でこれをクリアしたあともまた2年後に肺に転移し、これもクリアして4年間を無事に過してきました。
そして、最初の手術後の体のケアにと、入谷の、稲取と見高との境界線近くに南斜面の山の一部を購入しました。彼は今では山仕事にコツコツと取り組むことによって、体を立て直す確かな手応えを感じています。今朝はその彼が所有の山で作業中のところにお邪魔しました。
今朝の作業は立木を1本切り倒すことです。もう既に立木の伐採は何本も経験済みの彼が頭を抱えていました。その立木は高木なので、足下を伐ったときに山側に正確に倒さないと、下の道路側に落ちた場合、危険であり、事後も何かと面倒になります。
そこで彼はロープを使うことにしました。切り倒したときに山側に倒れるようにするため、ロープをその立木のなるべく高いところに結わえつけて、その端を山側の既にある切り株へと繋ぐことを考えたのです。しかし、木登りするわけにはいきません。斜面上に何とかハシゴを立てたとしても、高さが不足です。
そこで考えたのが、ロープの先に錘(おもり)を付けて立木の高い所にある二股の部分にロープを通すことでした。これが成功すれば、錘を回収してロープの先端に輪を作り、そこにもう一方の端のロープを通して引っ張れば、しっかりと立木の股にロープを固定することが出来ます。
.
ところが、ロープの付いた錘を二股めがけて投げても、うまくゆきません。斜面上では足が安定せず、従って錘が二股まで届かないのです。何度投げつけても成功しなかったと、次の手段を考えていたところに私が登場したわけです。
こうなったら私の出番です、と胸を張りたいところですが、実際に投げてみると石コロのようなわけには行きませんでした。二股の手前で失速したり、左右にぶれたり、なかなかうまく行きません。しかし、何度目かに別の角度から試してみたら、二股すれすれに錘が通過してくれました。
狭い二股によくぞ届いてくれたものです。友人は、「世の中、運だよ。幸運な人もいれば、不運な人もいる。病院で“殺されてしまう”人もいれば、我々のように生き残る者もいる」と、変な賛辞をくれました。とにかく、これで作業を先に進めることが出来ると、喜びあったのでした。
ただ、時間切れのため、肝腎な伐採作業は午後からの出直しとなりました。彼は電動ノコを二つも用意しているほど、準備は万全だし、既に何度も経験済みです。私のほうはこれで手を引いた次第です。
最近のコメント