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水曜日2009/01/14

稲取港に火の手が上がった
朝9時すぎ、何気なく外を眺めていたら、港で、突然、煙が上がりました。それも三箇所です。役場前のが一番大きい。すぐにピンときました。“ドンド焼き”だ! 間髪入れずにドンドンと音が追っかけてきました。

松の内が終わると、門松や笹だのが束にされ、一箇所に集められているのが目につきました。港ではやはり水際が選ばれています。いつ“お焚き上げ”するのかなと思っておりました。今日は14日。小正月の15日ではありません。

ついでに、“ドンド焼き”について書かれた文章(HP常識ぽてち)を引用してみます。
「“どんど焼き”はお正月のお飾りや書き初めなどを燃やし、その残り火で繭玉に似せたおだんごを木の枝に差して焼くという行事です。このおだんごを食べると1年間風邪をひかないとか、書き初めは燃えかすが空高く飛ぶと字が上手になるとかいわれているようです」

水曜日の今日は、ヤオハンへ一週間分の食料買出しの日に決めています。午前11時、女房殿と一緒に出かけました。役場前に来ると、既に焚き上げの行事は終わり、水をかけられた焼け残りの黒い灰が太陽に当たって光っていました。まわりを取り囲んでいた観客の姿はなく、この行事の担い手と思われるお年寄りが5,6人、近くのベンチに座って酒盛りをしているだけです。それと、その様子を若い消防署員4,5人が腕を組んで眺めておりました。中型の消防車が2台脇を固めています。役場のほうからホースが何本か伸びていました。

市場の前まで来ると、中に人の姿はなく、サンマやアジが干し板に並んでいます。「小ものはああいうふうに干物にするのよ」と女房殿が言いました。

バス通りに上がると、おなかがすいてきました。もうお昼に近い。食事処「ああ、はらへった」の前の「ヤシ」に立ち寄りました。ここは喫茶店ですが、食事ができます。それも軽食だけでなく、キンメの煮魚もメニューにあります。中にはカウンターがあって、夜はパブに変身します。また、程よく仕切られたテーブルが数多くあり、外見からではとても想像つきません。食事もおいしいので、私たちはこの地に越してきた当初から度々利用しています。孫たちを案内したのもこの店でした。きょうは私は牛肉の煮付けセット、女房殿はハンバーグセット。ドリンクバーのサービス付きが女房殿のお気に入りです。

この時間のヤオハンのお買い物はゆっくりと出来ます。といいますのは、3,000円以上は宅配してくれるのですが、締めの時間が3時だからです。もちろん、その日のうちに配達してくれます。もっとも、品物を探して店内を右往左往するのは私には苦手ですが。

買い物したあと、私はすぐ下の文化公園で足湯に浸ることにしました。女房殿は気が向かないせいか、隣の100円ショップを覗くと言います。足湯の客は平日とあって、外に二人、内にひとり。快晴のきょうは日向にいると暖かく、風も穏やかです。私は外湯に入ることにしました。公園の中はウサギの小屋を覗く幼子や、犬の散歩連れ、ウオーキングする人などが行き交います。しばらくじっとしていたら汗が出てきました。これで生ビールでもあればいうことありません。

帰りは細い路地をわざわざ探して歩いてみます。進み出た所が意外な場所だったりして、それで満足するわけです。ときには行き止まりで引き返すこともあります。でも、たいていは次の道へと繋がっているのが、この港町の特徴です。こういう町はどこにでもありますね。

先ほど歩いた市場前に戻ると、水揚げがあったらしく、かなりの人たちが忙しく立ち働いていました。日光を背にしたとき、黄金の目が光りました。私はキンメダイの目が金色に輝くのを初めて見ました。色鮮やかで高級魚の品格充分です。

海の青がきょうはひと際目立つのを見届けてから、自宅への最後の上り坂へ向かいます。左官屋さんが石垣の前であぐらをかいて仕事をしています。声をかけると、あいそよく答えが返ってきました。石垣から剥がれ落ちたコンクリートを補修しているのです。小板の上に載せた生コンをコテで器用にぬりたくります。簡単な作業に見えますが、準備段階からして、手が込んでいます。先ず対象をきれいに掃除してから、生コンが付着しやすいように、何とかというもので下塗りをします。そして、その上に何回か上塗りをして完成させるのだそうです。一日仕事ではないのです。

お年は70を越えているように見受けました。向かいの三島神社の近くにお住まいだそうで、15の年から左官屋一本できたといいます。最近は建築様式も変わり、注文の数も減っているとのことです。それでも、こうしていつまでも仕事ができるのは本当に羨ましい限りです。

町の人とこうしてお話ができるのは、殆ど付き合いのない私たちにとって楽しいものです。さて、きょうは夕食後、役場まで女房殿の送り迎えをしなければなりません。女房殿は私より一足先にお付き合いのグループを見つけました。私は果たして見つかるでしょうか?