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入谷の三権現2010/10/02

堰の沢の権現神社


稲取には五つの神社があって、毎年の夏祭りはそれぞれの神社と結びついて行われています。他にも蛭子神社を始め大小様々な神社があり、土地の人々と密接なつながりを持っています。たまたま訪れてみると、きれいに掃除され花や供え物がしてあるのが常です。

ところで、田町地区に吾妻権現神社と熊が沢権現神社の二つがあることは承知していましたが、例の「風土記」を読んで入谷の三権現というのがあると分かって、訪ねてみたくなりました。

それが今日たまたま散歩で入谷道を歩いていたところ、字堰堀で年配の方から案内していただく幸運に恵まれました。“堰の沢の大家”さんが守る三島権現がそれです。

細い路地に入り、小さな“堰の沢”を渡って更に奥へ入ると、小高いところに鳥居のある大きな祠がありました。建てられたばかりのような立派なお堂です。銅版で葺かれた屋根が倒木によって傷んだために改築されたのだそうです。

扉を開けると、中には一見して古くからのものと分かる黒光りのした小さな祠がありました。観音扉が付いていて、中にご本尊が安置されていることを思わせます。残念ながら、それを質問するところまで私の気が回りませんでした。

栄昌院の手前、消防センター第五分団器具置き場あたりから左寄り前方に、その辺では一番高い森が見えます。実はこの権現様はその森にあったといいます。ただ、度々の地崩れで移転を余儀なくされ、少し離れて更に上部の現在地に安置されたということでした。

今月の17日に氏子が集まって祭礼をとり行うというのは、“山田の大家”さんの権現様の祭日と同じです。それから、もう一軒の“大久保の大家”さんが守る権現様の祭日はあさっての4日だそうです。

そして、その“大久保の大家”さんの権現様はあの熊野権現だと教えていただきました。町の天然記念物に指定されているホルトの木に囲まれた神社です。山神社先の農協倉庫から下の道を行き、志津摩川の橋を渡って大峰(おおみよ)へ向かう途中に一度立ち寄って参拝したことがありました。

入谷に三権現ありと知ったときに先ず頭に浮かんだのが、稲取ふれあいの森へ向かうときにいつも気になっていた“山田の大家”さんの裏山の鳥居です。今日それが山田の権現様のものであることがわかりました。いずれ近いうちに訪ねてみるつもりです。

それにしても、入谷に入植した三軒がそろって氏神様を所有することになったというのは豪勢な話です。それぞれ子孫が繁栄し氏族を形成していったということでしょうが、この山のなかで並大抵な努力では成し遂げられなかったことでしょう。あらためて敬意を表したいと思います。