<><><><><><><><><><><><><><><><><><>

北川から大川へ2013/06/10


先日平滑でお会いしたオバアチャンからもう一度お話を聞かせてもらおうと、今日もまた北川へ出かけました。他に、先ず、北川~大川の境目にあるお地蔵さまにお会いすること、それからその辺りから別荘地へ抜ける道を確認すること、以上の目的がありました。


しかし、やっとお宅は探し当てたのに、オバアチャンはお出かけしていました。家人の話では畑に出ているらしいとのこと。まあ、今日はお宅の場所がわかっただけで、お話は聞くことが出来ませんでしたが、またいずれかの機会を待つことにしましょう。
 


そこから更に坂道を上がって、南無阿弥陀仏の大きな石碑がある東浦路に出ました。畑で梅の実を集めている老婆がいたので声をかけました。300坪ほどの谷状の斜面にいろいろな野菜を栽培しています。枝豆、トマト、キュウリ、ナス、オクラ・・・。
 


南無阿弥陀仏の石碑の由来については、秋田から嫁に来た彼女にはわからないとのこと。ただ、毎朝花や水遣りは欠かさないと言います。そして同時に今日の日の恙なきことを祈るとも。足繁く沼津から息子が顔を見せに来る度に、採れた野菜を持たせるのが唯一の楽しみなのだそうです。彼女の生きがいですね。山里の穏やかな心豊かな生活が偲ばれて、こちらも心がなごみます。
 


さて、平滑に向います。やがて大島や漁船の姿が見えてきて、しばしパノラマを楽しみます。畑の隅で談笑している二人のご婦人に軽く会釈し、その脇を通って更に進むと、いよいよ舗道がなくなりました。しかし、細い山道をたどること僅かで北川と大川との境に差し掛かりました。
 


海側にネットが張ってあり、暗い足元にはっきりしたお地蔵さまが1体、もう1体は表面が完全に風化して立っていました。こんな足元にあったとは! 前回、何処に目をつけて通り過ぎたのか、我が目を疑いたくなるほど明瞭な場所に立っているではありませんか。


お地蔵さまに深くお詫びをしたあと、その左脇から山筋に道が付いているのに気付き、さては岬石さんに教えられた山道とはこのことかと、少し追ってみることにしました。これを行けば別荘地内に入るはずであることは昨夜地図上で確認しています。
 


行く手は細道ながらしっかりしています。作業小屋を通り越すたびに一段とボサが道を覆い始めました。周囲はミカン畑ですが、或いは収穫後にヤブが蔓延したか、いずれにしても、あまり人の手が入っていないようです。
 


それでも、モノレールに沿って上って行くと、遂に別荘地内に入ったかと思われました。最後のヤブを突破して躍り出たところ、人がいて建物を掃除しています。そして、ここはホテルで私有地内だから、中へ入るのは拙いのではないかとの仰せです。


どうやら請負作業員のようです。ヤブをまた戻るつもりはないので、これを無視して道路に出ました。すると、きれいに整備された通路の脇に「風月無辺」と書かれた小さな移動車が数台置かれていました。なんと、ここはそのお宿の敷地内だったのです。
 


もはや、戦意喪失です。そのまま急な通路を下って旧国道に出ました。振り返って見た建物は先日も見たのですが、実は宿の案内受付所で宿ははるかに高みの場所にあったのでした。別荘地内へは多分、この宿の西方へ更に上がって尾根に乗れば辿り着けるだろうと思われます。でも、これにてこの辺の探索は打ち切りにいたします。
 


ところで、もうひとつ秘かに狙っていた道筋があります。「ぼなき石」からそのまま東浦路を辿って下の三島神社前に出ることです。ぼなき石を最初に訪ねた時にその先の坂道はゴーストップのチェーンが横に張られているのを確認しています。
 


これを突破して石段を降り、コンクリートの基礎枠が放置されたままになったところを海側の縁に沿ってヤブを分けて下ると、更地に出ました。作業小屋があって、その先に道が通じていました。この道が下から上がってくる道に合流すると、更に下って国道沿いの道に出ました。露天風呂の案内板がありました。この手前に4体の石碑を確認。
 


前方に三島神社の鳥居が見えて来ました。東浦路はこの先マンションの脇を通って橋を渡るそうですが、次回に改めて挑戦することにして、今回はこれにて終わりとします。

 

写真のスライドショー

コメント

_ 岬石 ― 2013/06/10 21:25

ぼなき岩を下ったのなら、これで東浦路、稲取〜大川間完全制覇ですね。おめでとうございます。『伊豆東浦路の下田街道』を読むと大川から汐見ケ丘別荘地までの道は偶然私も通っていました。途中に私は、初めて見た、水準点があり、廃墟マニアには有名な日大セミナーハウスの建物がありました。次は、稲取〜河津と大川〜赤沢をリクエストします。そして将来、河津〜赤沢の東浦路完全トレースの動画を続き物でアップしてください。

_ inada ― 2013/06/10 23:35

偶然通ったということは、それだけ魅力あるルートだったのですね。
東浦路完全トレースはだいぶ先になりそうですが、東浦路への興味は失うことがないので、鋭意努力いたします。

_ 岬石 ― 2013/06/14 06:34

会えなかったオバアサンの話といい、今回会った秋田から嫁にきたオバアサンといい(何故秋田の人がどういう縁で遠い伊豆の僻地といっていいようなところに嫁にきたのか)、石碑や石仏の言われや誰が造って立てたのかという、宮本常一的興味が次々と湧いてきます。
人が歩いて出来た道は、その道を歩いた人の歴史が残されているので、ディテールにつきない情報が満たされているのでしょうね。

_ inada ― 2013/06/14 14:22

今回お会いしたオバアチャンのお宅にはカエルの親子(オバアチャンはそう言いました)の石造物がありました。それも玄関の一角に堂々と鎮座していました。私はそれは多分、ツガイなのだろうと思います。夫婦円満の象徴としてです。
このカエルのツガイに対しても石仏と同じように毎朝礼を尽くしていると言ってました。ご主人は農協勤めで東伊豆の各地に勤務したようですが、かなり前に病気で亡くなりました。今は子供も独立して一人暮らしです。
知らない土地を訪ねて、その土地固有の文化、風俗、風習などに触れたとき、ある種の感動を味わうことがあります。それがちょっとした聞き取りが発端となって、どんどん膨らんでゆくのを思うと、興味は尽きないものです。

ところで、聞き取ったお話をどこまでオープンするかは、いつも悩むところです。なるべくプライバシーには気を付けたいと思っていますが。

_ 岬石 ― 2013/06/14 22:35

私のサイトの【展覧会予告】のページの下段のメールアドレスにinadaさんの住所と名前を入れておいてください。私が読み終わって倉庫にしまい込んだ本で、inadaさんが好きそうな本を送ります。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
山に登るのは
そこに ? があるから (答えは 山 )

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://taakesan.asablo.jp/blog/2013/06/10/6851068/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。