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「エリザベス女王のお針子」2013/06/27

「エリザベス女王のお針子 裏切りの麗しきマント」
ケイト・ペニントン作 柳井薫訳

世界史上の宗教改革は16世紀のヨーロッパを舞台にした一大イベントでしたが、英国では国教会(イングランド教会)の誕生、その後のピューリタン革命がセットになっています。この辺のところはルネッサンスとともに記憶に残っている世界史の知識ではあります。

ところで、英国でその引き金になったのがヘンリー8世の離婚問題だったというのが笑わせますね。ヘンリー8世というのは暴君の一人で多くの廷臣や妻が処刑されています。ただ、もう一方のローマ教皇を中心とするカトリック教会内部の世俗化や堕落も背景にあったというのも記憶にとどめておくべきでしょう。

そんな時代背景に歴史上の人物を登場させて、サスペンスもどきのストーリーを見事に描きあげたのが本書です。ヒロイン、メアリーは花や蝶などを刺繍で再現する能力に優れた針子。片田舎の平民に過ぎない彼女が時の女王の命を救うまでハラハラ、ドキドキの連続で、楽しみながら一気に読める小説です。

ちなみに、ヘンリー8世の死後にイングランド国王の座に就いたのは最初の妻の子、メアリー一世で、彼女はイングランドを元のカトリックの国に戻してしまいます。しかし、彼女の死後にヘンリー8世の2番目の妻の子、エリザベス一世が国王になると、カトリックと縁を切り、イングランド教会を復活させました。これは史実です。

この物語に登場するのがそのエリザベス一世(女王)で、根強く残っていたカトリック派の陰謀が話の筋となっています。その中で、早くに両親と死別を経験しながら、果敢に自分の道を切り開いてゆくメアリーの生き様が感動を呼びます。

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