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「向井山テエッタ」2012/10/12

熱川幼稚園の運動会
久し振りに奈良本の図書館を訪ねてみました。たまたま隣の町立熱川幼稚園で運動会があって覘いたら、ちょうど綱引きが始まったところでした。片や幼稚園児たち、相手は太田町長はじめ、町のお偉方です。勝負の勝ちどきは園児たちにあがりました。思わず拍手。

さて、きょう私が選んだのは昭和7年発行の「郷土読本 稲取尋常高等小学校」という本です。尋常1年~6年、高等1年~2年に分けて資料収集や執筆を先生方のみでなく、生徒も一緒になって執筆した他に類を見ない編集となっています。

きょうは「尋常1年の巻」に載っていた素晴らしい詩を紹介します。


向井山テエッタ

向井山(ムケエヤマ)テーッテル
マダコッチャ テーンネエ

ナベブタ ブクデーテ
ヒガテーラッシェ ヒガテーラッシェ

向井の山に陽が照り出した
こちらには未だ陽はあたってない

鍋蓋が浮かび上がってくるように太陽が上がって
早く陽が当たらないかな 早く陽が当たらないかな

私の勝手な解釈。当たってませんか? いずれにしてもこの詩は秀作ですね。

もう一つ。

コホリトオウマ

オウマガアセオ ポッツリコ
コホリヒキヒキ ポッツリコ

マールイアセガヒカッテタ
四角ノコホリモヒカッテタ

オウマノアセガ コホリニナッタ
コホリガアセオ タラシテタ

お馬が汗を流しながら懸命に重い氷を引っ張っている
お馬の汗は氷がポタポタかいている汗のようだ

この詩の作者の観察眼は優れていますね。それと、お馬が大汗をかいていることと氷が融けていることを対比して、馬への愛情も伝わってきます。氷を引く(売る?)馬車が当時往来していたのですね。