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稲梓から蓮台寺へ③2012/10/07


波夜多麻和気神社


「おふくろまんじゅう」の店を出てから間もなく、天神前バス停の先にまたもや神社がありました。民家の間を抜けてゆくと、これはまた一段と寂びた祠が長い石段の上に鎮座しています。取りあえず上がってゆきました。この石段も意地が悪いほど急で、充分に気を付けなければなりません。


拝殿と本殿が前後に並び、拝殿の中から本殿の扉にカギが掛かっているのが見えました。拝殿には横に長い額があり、文字は細かすぎ暗いので読めません。
 


写真を拡大したら、俳句が並んでいるのがわかりました。これらの句は其儘堂宗匠撰、清可?宗匠撰によるものです。どうやらここで句会が開かれたもようです。それぞれ俳号が付いており、かなり熱心なグループの集会であることが見て取れます。


残念ながら、流麗な筆致の崩し文字を正しく判読するのは容易ではありません。からくも読めたうちの一句だけを紹介しておきましょう。

「奥深き山の里あり梅の花 友月」
この作者は主催者の一人らしい。また、読んだ人たちは広範囲から来ており、相玉、箕作、北の沢、それに河津などの肩書がありました。
 


神社が建っている小山からは里の様子がある程度わかります。見下ろすと、刈り取ったばかりの稲がハザガケになって並んでいました。人の姿はなく、静かな落ち着いた田園風景が広がっています。


石段の上がり端の鳥居脇に大きな石柱が立っていて文字が刻まれています。風化した文字は「?夜多麻和?神社」。後で、ネットで調べたら、「波夜多麻和気(はよたまわけ)神社」でした。こんな神さまもいるんですね。火産(ほむすび)の神だそうですから、村人は火に感謝し火を恐れて祈ったのでしょう。

江戸時代には「相玉天神」「おぼいの明神」と称されていたそうです。「はよたま」が「はいたま」、そして「あいだま」と訛ったとの説があります。バス停は天神前となっています。毎年10月14日が例祭だそうですが、今でも行われているのでしょうか。
 


天神さまを出て少し行けば、いよいよ横川の辻です。観音温泉への看板に従って左に折れます。小さくない沢沿いの道をゆくことになります。緩い上り坂が続き、いよいよ山里に入った感じです。