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「ダーウィンと出会った夏」2012/10/04

「ダーウィンと出会った夏」ジャックリーン・ケリー作 齋藤倫子訳 ほるぷ出版

舞台は自然の豊かなテキサス州の片田舎。11歳のキャルパーニャは7人兄弟のなかで4番目に生まれた唯一人の女の子でした。この子は他の子に比べて生物の観察への興味が人一倍旺盛で、博物学の研究に没頭している恐い祖父と或る日、急にウマが合うようになり共同研究者となります。

彼女は祖父と標本採集に夢中になるが、女の幸せは結婚して子供を産み育て、平和な家庭を築くことにあるとする母親によって手芸・料理の勉強を強制されます。時は1899年で、奴隷解放から未だ30年余りしか経っていない、しかも南部の古い考え方が残っている時代でした。

そんな悩みの中で彼女は祖父と一緒に植物の新種を発見します。そして、ただちにスミソニアン協会に新種認定の申請をしました。もし新種発見が間違いなければ、自分たちの姓を冠した学名が永久に残るという名誉を手にすることになるのです。それから数か月してクリスマスの2日後、ついに認定の知らせを受け取ります。

現代は女性も人権を取得し、男性と対等に自由に生きることができる時代です。でも、かつての時代の陋習や偏見をこうした物語で読んでみると、仕事、結婚、家庭を巡って女性が女性らしく生きるという問題は容易に答えを見出すことが出来ない永遠のテーマであることを認識させられます。

本書は高等学校の部の課題図書で、昆虫や植物の話と併せてアメリカ南部の富裕層の生活ぶりが窺え、楽しく読み進めることが出来ます。

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